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中国を代表する保険テックの「衆安科技(ZhongAn Technology)」は新型コロナの防疫には直接かかわりはしなかったが、保険業界のオンライン化を目の当たりにしてきた。
例年、第1四半期は保険業界の書き入れ時だ。一年の売り上げの40~50%がこの時期に集中することも稀ではない。旧正月の長期休暇やボーナスで懐の温かくなった人々を狙わない手はないからだ。しかし新型コロナの影響で訪問ができなくなった。外交員は行き場を失い、新規成約も減った。さらに今年の景気からすると、資産運用収益も大幅に減収する見込みで、保険会社は頭が痛い。
しかしコロナはまた人々の健康や保障に対する意識を一新した。不謹慎かもしれないが、これは保険業界にとっては有難いことである。政府の銀行保険監督管理委員会の統計によると、2020年第1四半期の中国における医療・傷害保険の保険料は大幅な増収で、再保険を除く保険料収入は前年同期比21.60%増の2640億7600万元(約4兆円)だったのだ。肺炎流行が落ち着いた後も人々の医療保険や傷害保険に対する意識は高い。保険業界は元々、景気の影響を受けないよう安定した長期計画を立てているため、業界の未来は明るい。
不利な要素と有利な要因が混在する今回の社会情勢は、保険業界にとって一種の試金石となり、変革を促すきっかけともなった。こうした流れの中で、衆安科技は保険業界がデジタル化を図るための大きな助けとなっている。
衆安科技は、中国最大手のオンライン専門保険会社「衆安保険(ZhongAn Online P&C Insurance)」の子会社として2016年に設立された。その名のとおり、「保険+科学技術」を売り物に、衆安保険には技術的サポートを行い、対外的には技術、製品、業界ソリューションを提供するなど、保険業務のあらゆる分野を網羅したサービスを提供している。
衆安科技は7年にわたって蓄積した技術を利用して製品開発やオンラインによる保険金の支払い、スマートカスタマーサービスなどのサポートを行っている。同社は昨年末、クラウドを利用した分散処理システム「無界山2.0」の使用を始めた。これは1000億元(約1億5000万円)に上る保険料にも対応可能で、新製品のカスタマイズも1~2日と迅速な処理能力を持つ。毎日200件以上の見積もりを5分で出すことができ、新規契約の場合は当日にすぐ利用できる。
劉海姣CEOは今回の新型肺炎を保険業界のチャンスとみなしている。こうした時期だからこそ推奨できる製品もあるからだ。
新型肺炎の期間に人々がインターネットにより一層依存するようになったことも衆安科技の追い風となっている。対外向け製品を、保険、保障、育成の三分野に分け、それぞれに特化したプラットフォームを構築している。コロナが猛威を振るっていた2月には、スマートカスタマーサービスが150万件もの問い合わせを処理し、オンラインによる会話は250万回を超えた。
保険業界は間違いなくデジタル化に向っており、テクノロジー活用が現在の趨勢となっている。
産業の国家研究機関である前瞻産業研究院の調べによれば、2019年に中国の保険会社がテクノロジー関連で投じた費用はは約320億元(約4800億円)で、この先5年間は20%前後の増加率で推移し、2025年には955億元(約1兆4000億円)になる見込みだ。人口ボーナスの減少に伴い、大量の外交員動員という人海戦術から、より精錬された運営モデルに業界はシフトする。オンライン保険がますます増加する中で、保険業界の競争は技術競争の様相を呈することは間違いない。
(翻訳・近藤)
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