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屋外向け移動ロボットを開発する「松霊機器人(AgileX Robotics)」が先月、シリーズAで1億元(約17億円)規模の資金を調達したことがわかった。出資したのはセコイア・キャピタル・チャイナ、五源資本(5Y Capital)、シンガポール政府系Vertex Ventures(祥峰投資)傘下のファンド、Hong Kong X-Tech Fund(香港X科技基金)などトップクラスの投資機関だ。松霊機器人は調達した資金で低速自律移動ロボットの性能を強化し、高性能シャーシと組み合わせて、あらゆる業界に向けた屋外シナリオのソリューションを深掘りしていく。
グレーターベイエリア(珠江デルタ・香港・マカオ)に拠点を構える同社は、移動ロボット分野でフルスタックのソリューションを展開。グローバル市場で移動ロボット向けのシャーシやシステムソリューションを提供している。4種のロボットシャーシのソリューションを自社開発・製造し、積載荷重50〜300キロに対応。積載荷重のほか、航続、速度、動作モデルでも、さまざまな業界の異なる需要に応えられる。
屋外利用を想定したロボットのソリューションの最大のポイントは、標準化された製品をどのように複雑な環境に適応させられるかという点だ。ユーザーにとっては悩みであり、サプライヤーにとっては開発の難所でもある。松霊機器人の顧客には、防水性や高い機動性が求められるトンネルのような特殊環境でロボットを稼働させる必要があったり、地震多発地帯において建築物の基礎部分を定期検査するロボットが必要だったりする場合がある。松霊機器人は顧客の多様な需要に応えられるよう、ロボットシャーシに二次開発用のインターフェースを設け、それぞれの必要に応じたコンポーネントやナビゲーションシステムを搭載できる。このため、屋内外のパトロール作業や環境探査、物流業務など多様な業界で導入できるのだ。
松霊機器人はアリババ、ファーウェイ、中国建築第三工程局(China Construction Third Engineering Bureau)など1000社以上を顧客に持つ。中国科学院、米カーネギーメロン大学、ニューヨーク大学など50以上の高等教育機関とも提携、すでに1000以上の製品を共同開発し、低速無人物流や収穫作業、スマートファクトリー、セキュリティやパトロール、感染症防止の消毒作業、測量などに活用されている。同社の売上高の30%が海外市場での収入で、移動ロボット向けシャーシを発売した2019年に1000万元(約1億7000万元)規模を売り上げ、今年までの年平均成長率は300%となっている。
移動ロボット向けシャーシは高度に専門的な隙間分野だが、同分野に競争が生じるとすれば、製品の定義付けが最も難しいポイントだと松霊機器人は指摘する。市場の需要は分散しており複雑なため、複雑な導入シナリオに沿った製品の動作モデルを定義する必要があるという。複雑な動作モデルは運動制御アルゴリズムや自動運転アルゴリズムの開発にも高度な条件を求める。さらに、電動機、駆動装置、減速装置も技術面で全く新しいロードマップが求められる。市場や顧客の需要に応えられる完璧なソリューションを構築するには、それぞれの業界のノウハウを培わなければならない。これらの条件が業界参入のハードルを高くし、松霊機器人は一定の先発優位性を獲得した。
創業者の魏基棟氏によると、移動ロボット向けシャーシの設計・開発には、主に二つの方向性がある。一つ目はロボット思考で、もう一つは自動車思考だ。ロボット思考で開発された製品は柔軟性が最優先となる。松霊機器人もロボット思考にのっとって四輪駆動(4WD)、四輪操舵(4WS)の2種類のロボットシャーシを開発した。柔軟性においては強い競争力を持ち、すでに少ロットの試験生産や製品テストに入っている。一方、自動車思考で開発されたロボットシャーシはスピードや積載荷重に優れる。松霊機器人はアッカーマン・ジャントー機構を採用したロボットシャーシ「HUNTER」を開発している。すでに二代目製品も発表しており、時速10キロ走行、積載荷重150キロを実現した。
松霊機器人は2016年設立。創業メンバーおよび開発メンバーは、ドローン製造世界最大手DJIや数値解析ソフトウェア開発大手MathWorksなどの大手企業や名門研究機関の出身。来年には複数の新製品が量産に入り、中国市場と海外市場で同時展開し、業績200%増を目指す。
(翻訳・愛玉)
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