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ベンチャーキャピタルなどを対象に市場データを提供する研究調査・分析企業「CB Insights(CBインサイツ)」が「2021年第2四半期人工知能(AI)リポート:資金調達動向、イグジット、企業活動」を発表した。同リポートによると、新型コロナウイルス感染拡大により、すべての業界でAIへの投資傾向が見られ、AI関連のスタートアップが調達した資金は200億ドル(約2兆2000億円)を超えたという。
1億ドル超えの資金調達が50回
調達件数は低下したにもかかわらず、AIスタートアップが調達した金額は過去最高となった。21年第2四半期の調達額が1億ドル(約110億円)以上だったのは50件。このほか、24社の評価額が初めて10億ドル(約1100億円)に達し、ユニコーン企業となった。
米国はAI業界の中心となる地域だ。調達金額がトップレベルにあり、世界のAI関連の資金調達の41%が米国で行われている。21年第1四半期の資金調達のうち、米国企業の割合は41%で首位、次いで中国の19%が続いた。
Waymoの調達額がトップ、AIプロセッサー企業は23回調達
21年第2四半期において、交通運輸業のAIスタートアップの調達額は全体の20%以上を占めたが、調達件数はわずか7%にとどまった。Alphabet傘下の米「Waymo(ウェイモ)」が25億ドル(約2750億円)、GMが買収した「クルーズ・オートメーション(Cruise Automation)」が7億5000万ドル(約830億円)の資金調達を行った。
AIプロセッサー分野と小売・消費財業界のAIスタートアップも巨額の資金調達を行っている。プロセッサー関連のスタートアップは21年第2四半期に23回の資金調達を行っているが、AI関連のハードウェア開発を行う米「サンバノバ・システムズ(SambaNova Systems)」の6億7600万ドル(約750億円)と自動運転向け人工知能(AI)チップを手掛ける「地平線機器人(Horizon Robotics)」の6億ドル(約660億円)で調達額の半分以上を占めている。また、小売・消費財業界で最も多くの資金調達を行ったのがリテールテックのシンガポール「Trax」の6億4000万ドル(約700億円)だった。同業界のスタートアップの調達額は前四半期比で約1.4倍増となった。
業界別では、医療保健分野がこれまで同様、調達件数が最も多い業界となった。第2四半期には96回のエクイティファイナンスが行われ、AI分野の資金調達全体の17%を占め、前四半期比で横ばいとなった。
金融と保険業界では52回、運輸と物流業界では39回の資金調達が行われた。運輸物流関連スタートアップ企業には主に自動運転車を見据えたベンチャーキャピタルとコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)が資金を投じている。
AI市場は成熟傾向
全体的に見て、シリーズBとシリーズCの資金調達が全体の26%を占め21年第2四半期に過去最高となった。シリーズD以降の資金調達は全体の9%を占め21年第1四半期から見て横ばいだった。
このほか、シードラウンド、エンジェルラウンド、シリーズAの件数は減少傾向にあり、21年第2四半期では全体の55%であった。
AIスタートアップのイグジット率は前四半期比で125%増となった。新規株式公開(IPO)を行ったAIスタートアップは過去最高の11社に上った。
スタートアップに出資した投資家がIPOやM&Aを通じて資金を回収するイグジットの増加はAI市場の成熟を表している。RPA(Robotic Process Automation)プラットフォームのグローバルリーディングカンパニー「UiPath」は21年第2四半期にニューヨーク証券取引所に上場。同社のIPOはAIスタートアップ分野で過去最大となり、公開価格で計算した評価額は290億ドル(約3兆円)だった。
このほか、21年第2四半期にはネットセキュリティー関連の米「センチネルワン(SentinelOne)」、物流トラック向けの自動運転技術を開発しているユニコーン企業の中国「図森未来(TuSimple)」、素材関連の米「ザイマージェン(Zymergen)」、AIによる製薬開発の米「リカージョン(Recursion)」、ネットセキュリティープラットフォームの英「ダークトレース(Darktrace)」などのスタートアップが上場している。
(翻訳:lumu)
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