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TikTokを運営するバイトダンス(字節跳動)の創業者、張一鳴(Zhang Yiming)CEOは2020年12月、越境EC、企業向けサービス、オフィスツール「Lark」という重点事業に関する方針を社内に示した。その後、越境ECの具体的な内容が明らかになりつつある。
ビジネス情報メディア「志象網(Chuhaipost)」によると、同社は越境EC専用プラットフォームをテスト中で、今月のリリースを計画しているという。
だが海外のEC市場はすでに競争が激しい。アマゾン、アリババ系の阿里速売通(AliExpress)、東南アジアのShopeeとLazada、南米のMercado LibreなどがB2Cでシェアを広げ、ECサイトの開発・運営をサポートするShopifyも積極的にサービスを展開している。バイトダンスはここに割って入れるのだろうか。
バイトダンスのEC遺伝子
バイトダンスがTikTokの本国版「抖音(Douyin)」をベースに中国で展開するECサービスは好調だ。
抖音のECの2020年のGMV(流通取引総額)は5000億元(約8兆7000億円)を超えた。バイトダンスがECを主要事業に位置付けたのは同年6月なので、その成長スピードは驚異的だ。この時期に何度もEC専用アプリの開発が伝えられていたが、同社はそれを否定していた。
リリースが噂される越境ECアプリは、TikTokが抱える世界規模のトラフィックを拠り所とするのだろう。TikTokは今年9月、世界の月間アクティブユーザー(MAU)が10億人に達した。
トラフィックには販売業者を引き付ける力がある。抖音が中国でライブコマースを打ち出したことで、ショート動画は販売業者が消費者にアクセスする新たな手法となった。
海外では多くの販売業者がTikTokと提携している。TikTokは2020年後半からShopifyを通じて100万社に上る企業およびブランドとつながり、同年12月にはウォルマートと提携して海外初のライブコマースを行った。
バイトダンスは今年2月、Shopifyとの提携を英国市場に拡大。Shopeeと提携したインドネシアでは、販売方法を学べる「TikTok Shop Seller University」を開設したほか、4月にはライブコマースを全面展開して「TikTok Shop」をオープン。TikTok Shopは6月にイギリスでもオープンし、最近になって越境EC業者が「フルフィルメント by Amazon(FBA)」などの第三者チャネルを利用できるようにした。
同社は今年初め、服飾品の「斯達領科(Starlink)」や電子機器の「Patozon(帕拓遜)」といった大手販売業者に投資。また、8月に投資した越境インフラサービスの「縦騰集団(Zengtong)」は専門の物流網と海外倉庫を有する数少ない企業の一つだ。
アマゾンが今年5月以降に進めた中国越境EC企業のアカウント閉鎖で多くの販売業者が撤退や倒産に追い込まれ、生き残った販売業者が他のプラットフォームに移ろうとする大きな需要が生まれた。バイトダンスのプラットフォームはこの流れに乗って成長できるかもしれない。
9月初め、米テック系メディアのThe Informationは、バイトダンスが50億ドル(約5600億円)のシンジケートローンをめぐり銀行と交渉していると報じた。借入金は既存債務の返済と、ECを中心とする海外事業の拡大に充てられるという。
作者:美股研究社(WeChat ID:meigushe)
(翻訳・神戸三四郎)
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