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コミュニティアプリ「即刻(Jike)」が戦略を転換し、攻勢に出ている。昨年までは自らを「コンテンツの配信プラットフォーム」と位置付けて、「サブスクリプション+プッシュ通知」でユーザーに情報をより効率的に届けることを追求していた。選りすぐった情報の価値が、人を引き付けるのだと即刻は強調していた。
しかし、今年から変わった。いま即刻を開くと、おすすめのフィードには、ほぼすべてがグラフィックや短い動画を含むUGC(ユーザー生成コンテンツ)が現れる。即刻はもはやコンテンツ配信プラットフォームではなく、UGCコミュニティとなっているのだ。
12月から、テンセントビデオ(騰訊視頻)で番組「即刻電音(Jike Dianyin)」が始まった。優れたエレクトロニックミュージックのアーティストを発掘するオーディション番組で、流行に敏感な若者が対象だ。即刻はこの番組の冠スポンサーとなった。
他にも即刻は、バラエティ番組に積極的で、アイドル歌番組「中国音楽公告牌(音楽掲示板)」や動画共有サイト「bilibili」の視聴者参加番組「故事王(Story Man)」のスポンサーにもなっている。特筆すべきは、今年数千万ドル(数十億円)の資金調達を完了した即刻が、若者をターゲットにしていることである。
「即刻電音」の開始直後に、共同創業者の林航(Lin Hang)氏に即刻の転換と今後について話を聞いた。
――最近、多くのバラエティ番組のスポンサーになっています。特に、「即刻電音」は反響を呼んでいますが、この番組を選んだ意図はなんですか。
「エンターテイメント・マーケティングは現在、比較的効率がいいマス・コミュニケーションの手段だ。『同好コミュニティ』に方向を転換したので、こうした手段でターゲットとする視聴者に即刻とは何かを伝える必要がある」
「これまでスポンサーになって来た番組は、アイドルやお笑いといった若者向けのコンテンツだった。エレクトロニックミュージックやサブカルチャーに興味を持っているユーザーも多いので、この番組を選択した」
――同好コミュニティをどのように定義していますか。
「興味のつながりだけではなく、同じ感情や状態といったものもユーザー間の化学反応を引き起こす。即刻では興味や趣味関連のテーマに加えて、『今日は楽しくない』『自分より惨めな人』『高いけど買いたい』『一緒に投資』『誰もがプロダクトマネージャー』などの感情的、職業的なテーマを取り上げている」
――即刻がコンテンツの配信から同好コミュニティへ転換した理由は何ですか。
「生き残るためだ。従前、サブスクリプションでコンテンツを楽しんでいるユーザーを観察した結果にも基づいている。サブスクリプションの背後には、同じコンテンツが好きで、同じテイストを持ち、似通った興味と価値観を持つグループが存在することに気が付いた。また、新世代の若者が成長しており、彼らの表現、会話、コミュニケーションに適したプラットフォームが必要だ。WeChat(微信)や Weibo(微博)以外にも新しい可能性があると考えた」
――現在のプロダクト上の大きな変化は何ですか
「最大の変化はテーマ別コミュニティ化だ。テーマ毎にコミュニティがある。自分に適したコミュニティをすべてのユーザーに見つけてほしいと考えている。」
「単なる情報配信はツールに過ぎない。それは即刻が目指すものではない。我々はユーザーを尊重しており、優良なユーザーにさらにたくさんのコンテンツを生んでもらうために様々な工夫をしている。」
――では、最終的に即刻はどんな商品を目指していますか
「我々の理想は、共通点を持つ若者たちを繋げて、彼らが本当に共鳴できる仲間を見つけられるようにすることだ。集まって交流し、オンライン・オフラインで新しい友達に出会う。これが即刻コミュニティの理想だ」
(翻訳:長谷川正時)
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