ミネラルを残せる浄水サーバーを開発、日米でも展開。中国新興企業、20億円の資金調達

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浄水器など小型家電を展開する「家里泉」(旧名称:Miss Xi、熊小夕)がこのほど、シリーズBで1億元(約20億円)近くを調達した。灃途資本がリードインベスター、既存株主のGGVキャピタル(紀源資本)と天図資本(Tiantu Capital)がコ・インベスターを務めた。設立からの2年間で4度目の資金調達となる。

家里泉は2020年7月設立、新鮮な飲料水を訴求ポイントに家電市場に参入し、「Miss Xi」ブランドで浄水器、加熱機能付きウォーターサーバー、ミルクティメーカーなどを立て続けに発表した。昨年4月に発売した同ブランド初の卓上型浄水器は取り付け工事の必要がなく、浄水機能と加熱機能が一体化しているという特徴を持ち、25~35歳の若い母親やホワイトカラーが要望するポイントを押さえたものとなっている。これまで「ANGEL(安吉爾)」や「AOスミス(AOS)」などビルトインタイプが中心となっていた浄水器市場に割って入ったかたちだ。

卓上型浄水器は取り付け工事が必要なく、浄水機能と加熱機能が一体化している

今年7月にはMiss Xiのリブランディングと製品のアップグレードを図り、浄水性能を持ちながら含有するミネラルは残せるウォーターサーバー開発にブランドとして初めて注力することを発表、製品のプロトタイプを発表した。

これについて創業者でもある李文珺CEOは「開発のきっかけとなったのは、水の浄化を研究する過程で、微量元素を含有するミネラルウォーターは一般的な飲料水(浄水処理された水)よりも口当たりがよく、健康にもよいことが徐々にわかってきたことだ。消費者のミネラルウォーターに対する認知度は高く、需要も大きい。コロナ禍以降は生活の質の向上を求める声も高まっており、水に健康効果を求めるようになっている」と語った。

家里泉はかねてからミネラルを取り除かない浄水サーバーの発売を目指していた。李CEOによると、今回のリブランディングは9カ月かけて準備してきたもので、開発チームも技術を積み上げてきた。単純な浄水器からアップグレードすることで、自宅でも「ボタンひとつで」ミネラル入りの水を飲めるようになるほか、急速加熱、冷却など多くの機能を実現した。

これまでナチュラルミネラルウォーター市場は主に大手飲料メーカー「農夫山泉(Nongfu Spring)」や「百歳山(Ganten)」などに代表されるボトルタイプの製品が主流で、製造工程は主に天然水の運搬と浄化処理だった。家里泉のウォーターサーバーはミネラル含有水の生成と浄化をひとつにまとめた。

李CEOによると、同社は中国地質大学とともに鉱物資源について研究を重ね、自然の鉱泉を再現する技術と高温高圧環境下における微量元素活性化技術を開発、ミネラル含有水を再現すると同時に浄化処理を施すようにした。給水口には独自開発した4種類の殺菌技術を応用し、スマート洗浄、スマート故障予測などの機能も持たせた。

この2年間の家電市場拡大はオンライン販売によるところが大きい。中国電子信息産業発展研究院(CCID)によると、家電のオンライン販売の売上高は2020年に初めてオフラインを上回った。2021年も拡大は続き、オンライン売上高は4663億元(約9兆3000億円)、前年比11.1%増となり、家電全体の52.9%を占めた。特にハイエンド製品の売れ行きが良く、若年層からの需要が大きかった。

オンライン販売の拡大にあわせ、家里泉は天猫(Tmall)や京東商城(JD.com)、抖音電商(Douyin Dianshang)などECサイトで販売を開始した。抖音電商での販売が最も好調だという。主な原因のひとつは、これまでのような文章や写真による紹介よりも、ライブコマースのほうが浄水器の使用方法や機能を紹介するのに向いていることだ。

中国のほか米国や英国、日本、韓国、マレーシア、中東などで製品展開をしており、海外市場では「AQUIBEAR(アクイベア)」ブランドとして販売する。今後はミネラルを残せる浄水サーバーも海外市場に投入する。すでに米国と日本で承認を取得しているが、9月に中国と日本で同時発売した。

海外での最初の市場に日本を選んだのには多くの理由がある。日本の生活習慣は中国に比較的似ており、自宅で調理することが多く、家電は小型化し複数の機能を有し、また台所の面積が狭いといった特徴があることから、卓上型浄水器が受け入れられやすい。またデザインの面でも中国の小型家電はもともと日本や韓国のスタイルに近く、人にやさしいという要素を持っているためだ。

同社はすでに日本に事務所を置き、公式サイトや体験型ストアを開設している。また、楽天市場へ出店もしており、近日中にYahoo!ショッピングやアマゾンでも販売する予定。

(翻訳・36Kr Japan編集部)

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