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メタバースで活躍するデジタルヒューマンやデジタルアセットの運営管理を手がける中国スタートアップ企業「燃麦網絡科技(Ranmai Technology)」(以下、燃麦科技)が、シリーズAで数千万ドル(約13億円)を調達した。「ベルテルスマンアジア投資基金(BAI)」がリードインベスター、「穆棉資本(MM Capital)」が単独でアドバイザーを務めた。
燃麦科技は2020年10月に設立され、AYAYI、鍩亜Noah、若一Ro1yi、阿曜Ayoなど人気デジタルヒューマンのキャラクターIP(知的財産)を運営する。
22年12月、ネット大手テンセント(騰訊控股)の音楽配信子会社「テンセント・ミュージック・エンターテインメント・グループ(TME)」と共同でリアル系バーチャルアイドル「鹿暁希LUCY」のデビューを正式に発表し、TMEが初めて契約するデジタルヒューマンとなった。LUCYの最初のシングル曲は当日TME傘下のQQミュージックなど音楽関連の3大プラットフォームで流れ、ドルビーアトモス (Dolby Atmos)の音楽作品をリリースした初めてのAIバーチャル歌手になった。
デジタルヒューマンのIPキャラクターを積極的に展開するほか、燃麦科技はデジタルアセットの運営管理、オリジナルブランド、デジタルアーティストのインキュベーション、デジタルアート展などを手がける。
会社は現在2.0段階にアップグレードを進めており、デジタルヒューマンの生活を構築することが将来の大きな方向性だ。将来端末がアップグレードされればユーザーはより没入感が高い形で双方向の体験ができるようになる。一方、3Dアセットが増えればユーザーは他とは違う体験を求めるようになる。創業者の唐迤氏は「多くのアセット関連企業、ブランド企業やアーティストと提携したものを含め、燃麦科技はさまざまなコンテンツを手がけている。国内のメタバース市場および業界全体における自社IPの影響力強化に努めている」と話す。
燃麦科技はブランドとの提携に際し、提携先が3Dデジタルアセットを構築してブランドのデジタル化を進め、メタバースとの接点をもてるようサポートする。
2.0段階では、AI、拡張現実(AR)/仮想現実(VR)、3Dデジタル空間など「AYAYI」の IPやコンテンツのアップグレード、ブランドおよびメタバースのプラットフォームに重点を置くという。
具体的には、まずショート動画やVRコンテンツに重点を置いて将来的にAIアバターをつくるほか、3Dデジタル空間の構築にも注力し、デジタルコンテンツにおいてデジタルヒューマンとブランドがさまざまな方法で双方向のやり取りを行えるようにする。また、AI駆動型の新しいキャラクターを増やし、ユーザーがAIデジタルヒューマンとインタラクティブな体験ができるようにする。
AIによるコンテンツ生成、AR/VR、クラウドコンピューティング関連分野の技術的進歩に伴い、デジタルヒューマン市場も確実に成長を見込めるようになってきた。調査会社「艾媒諮詢(iiMedia Research)」が発表した「2022年中国におけるバーチャルヒューマン産業の商業化についての研究報告」によると、中国のデジタルヒューマンがもたらした市場規模とコア市場の規模は21年にそれぞれ1074億9000万元(約2兆30億円)と62億2000万元(約1180億円)だったが、25年にはそれぞれ6402億7000万元(約12兆1000億円)と480億6000万元(約9000億円)に達すると予想される。
政策面では、国や各地方政府もデジタルヒューマン分野のスタートアップを支援している。例えばデジタルヒューマン産業のイノベーション促進プランを発表した北京市は、同産業の規模を2025年までに500億元(約9500億円)以上にする計画だ。
燃麦科技は中国国内の巨大市場にとどまらず、グローバルにも積極的に展開している。2023年1月には香港に海外市場開拓の拠点を置き、東南アジア、北米、欧州市場にデジタルヒューマンの運営サービスを提供する計画だという。
(翻訳・36Kr Japan編集部)
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