処方箋情報共有プラットフォームの「易復診」、医薬分業で生まれる1兆5000億円規模の市場狙う

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中国の医薬品市場が、極度に管理された市場から、競争が十分に行われる市場に変わろうとしている。医療制度改革に伴う医薬分業が一気に進めば、病院が担っていた処方箋医薬品販売の半分近くが医薬品小売業者に流れ、1千億元(約1兆5000億円)規模の院外処方箋による医薬品小売市場が生まれることになる。

医薬分業の実現にとって最も重要な点は院外処方箋を交付すること、医療保険との整合性を図ることだ。病院、医者、患者、薬局ら4者の利害関係を明確にすることも重要になってくる。処方箋情報共有サービスなどを手掛ける「易復診(YIFUZHEN)」は、これらの問題を解決するプラットフォームを提供している。

同社のシステムでは、医師は患者の処方箋を同社の「処方箋情報共有プラットフォーム」に直接アップロードすることができる。プラットフォームでは処方箋情報に基づき、医薬品小売店の在庫状況や位置などを調べ、患者にショートメッセージで情報を送信する。患者は医薬品を購入する店舗をその中から自由に選び、薬局は患者の情報をプラットフォームで確認し、処方箋を印刷して医薬品を販売する。

再診の場合、患者はアプリや公式アカウントなどからオンライン診療の予約をするだけでよい。医師は画像や映像で患者の状況を確認し、病歴やこれまでの処方箋データを調べた上で、一部の一般的な慢性病についてはオンラインで患者に処方箋を交付することができる。患者はプラットフォームから送られてくる電子処方箋に従い、医薬品の購入先を自由に選ぶことができるため、薬をもらうために受診することが減る。

易復診の馬光磊総経理によると、同社のサービスには次の3つの側面がある。

(一)省・地級市クラスの地方自治体の人口・健康関連データプラットフォーム、病院情報システム(HIS)、医療保険清算システム、医薬品小売店の販売・在庫・仕入れ管理システムと連携することで、地域の医薬品関連データの相互接続を実現する。
(二)インターネット診療サービスにおける医薬品取扱いに関するソリューション、院外処方箋の情報管理システム、処方箋医薬品の受診後宅配システムなど、医薬分業の各場面に応じた全体的ソリューションの提供に焦点を合わせている。
(三)AI技術により、仮想在庫や高精度の会員管理サービスなどを提供することで、医薬品流通システムの機能を向上させる。

易復診はこれまでに北京医院、北京大学人民医院、北京阜外医院など「三級甲等(中国の病院等級の最高クラスを表す)」の大病院を含め、300近くの病院をカバーしている。さらに、600社弱の医薬品小売店とも提携しているほか、提携先にソフトウェアとハードウェアの連携、薬剤師のトレーニングなどスマート化に向けた全般的なソリューションを提供している。

馬氏は同社の収益モデルについて、▽プラットフォームへの医薬品小売店の加盟▽医薬品小売店向けスマート化ソリューションの提供▽病院との情報化に関する協力拡大▽メーカー(販売、物流企業を含む)による病院外での営業体制構築の支援――などを想定していると明かした。ただし、現行のデータプラットフォームと実需を考慮して、現時点では小売店向けと病院向けのサービスのみ展開しており、売上高は月間数百万元(数千万円)規模だという。

同社は医薬品を中心とするコングロマリット「百洋医薬集団(BAHEAL PHARMACEUTICAL GROUP)」の子会社。馬氏は首都医科大学卒業後、百洋医薬集団に入社し、主に医薬品の情報化の研究に従事してきた。中国医薬商業協会の副秘書長も務めている。
(翻訳・池田晃子)

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