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中国ではこのところ、「軍大衣」(軍用コート)や「花綿襖」(花柄の綿入れ上着)などしっかりした素材の綿衣料が保温性や実用性、コストパフォーマンスの高さからソーシャルプラットフォームでしばしば注目されるようになり、日増しに理性的かつ実用的になる若者の消費観が浮き彫りになっている。今年上半期は若者の間で「特殊兵式旅行(時間と費用を節約し軍隊のように観光地を訪れる方式)」や「シティーウオーク(街歩き型の観光)」「高齢者向けツアーへの参加」「コミュニティーの高齢者向け食堂での食事」が話題をさらい、今冬は軍大衣と花綿襖の人気が爆発している。あるネットユーザーはこうした現象について「『80後』(1980年代生まれ)が節約に知恵を絞る中、『00後』(2000年代生まれ)は既に高価なものを盲目的に追求するという考え方から抜け出し、品質とコスパを追求する『反向消費』を始めている」と指摘した。可処分所得を最大限に活用し最少の支出で最高の体験を得ることが、ますます多くの若者が目指す消費スタイルとなっている。
トレンドを追い求める若者のお気に入りはこれまで、斬新でファッショナブルなダウンジャケットだったが、今年の冬は軍大衣がダウンジャケット人気を上回っている。中華全国商業情報センターのデータによると、2015年に438元(1元=約20円)だった国内のダウンジャケットの平均価格は、20年に656元にまで上昇、極寒防寒着に至っては千元を超え、2千元以上のものも7割近くを占める。今年は原材料価格の高騰が影響しダウンジャケットの価格も過去最高を更新した。業界関係者によると、全体的な価格は去年の同時期と比べ約30%上昇した。ダウンジャケットの価格高騰は、同じ様に保温性がありつつリーズナブルな軍大衣や花綿襖、あるいは多機能なアウトドアジャケットに若者の関心の目を向けさせた。ソーシャルプラットフォームには「ダウンジャケットは高くて買えないのではなく、軍大衣のほうがコスパに優れている」というレビューが寄せられている。
中国インターネット検索大手、百度集団(バイドゥ)の検索トレンド分析ツール「百度指数」によると、今年に入ってアウトドアジャケットの1日当たりの検索指数がダウンジャケットを逆転した。ネット通販セール「双11(ダブルイレブン)」でも、動画投稿アプリ「抖音(ドウイン)」が発表したスポーツ・アウトドア部門の売れ筋トップ10にアウトドアジャケットが4種類ランクインした。さらに東北地域の大学生グループが軍大衣を着て教室に入る動画がソーシャルプラットフォームで注目を集めたことで、「ダサい」とされてきた軍大衣や花綿襖が大学生たちの間でブームとなった。こうしたブームは、若者の消費意識の変容を反映しており、若者はもはや衝動的な消費に走ることなく、自身の真のニーズや、商品の本質的な機能性とコスパを一層重視するようになっている。このような「反向消費」は、消費に理性が戻ってきたことの表れと言える。
今年ブームとなった「特殊兵式旅行」は、旅行前に時間とルートを入念に計画し、最小限の時間と費用で最大限の体験を得るという「高コスパ」重視のスタイルだが、この他にも若者が、高齢者向けの旅行ツアーに申し込む、社区の高齢者向け食堂で「食事の個性化、多様化」を実現する、老年大学(高齢者大学)で白髪の高齢者と一緒に趣味講座に参加するなどの現象は「蹭老式(シルバー便乗型)消費」と呼ばれ、「反向消費」が若者の間で盛り上がりつつあることを反映している。
国務院発展研究センター市場経済研究所の漆雲蘭研究員は、軍大衣や花綿襖のブームの背景には、若年層の消費意識や消費行動の変化があると指摘。若者の消費行動の理性化やコスパ志向だけでなく、美意識や価値観も変化しつつあり、トレンドやファッションをやみくもに追い求めるのではなく、より個性的な表現や文化的な意味合いを重視し始めたことを示していると述べた。(新華社北京)
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