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タイは2022年以降、中国の電気自動車(EV)メーカーによる投資ブームに沸いている。EV大手の比亜迪(BYD)は22年9月、同国の工業団地開発大手WHAインダストリアル・ディベロップメントと用地取得・工場建設に関する契約を締結した。23年3月にはタイ東部のラヨーン県で、同社が100%出資で建設する初の海外工場の定礎式を行った。工場の生産能力は年間約15万台、24年の操業開始を見込む。重慶長安汽車も23年11月にタイ生産拠点の定礎式を行い、25年の生産開始を計画している。
中国自動車メーカーと共に電池などの関連産業も進出し、タイのEV産業チェーンの形成をけん引している。23年12月には車載電池大手の国軒高科がタイ側と合弁でラヨーン県のサイアム・イースタン工業団地に設立した工場で、初の電池製品がラインオフした。
上海汽車集団が最も早くタイに進出した自動車企業。12年にタイのチャロン・ポカパン(CP)グループと合弁し、「名爵(MG)」ブランド自動車の現地生産・販売を開始した。20年には長城汽車がラヨーン県に位置する米ゼネラル・モーターズ(GM)の工場を買収。226億バーツ(約940億円)を投じて改修を行い、21年6月に生産を開始した。
業界関係者は中国自動車メーカーの相次ぐタイ進出について、現地のEV支援政策、産業を構成する要素の歴史的蓄積、地政学的見地の三つが重要な要因になっていると指摘する。
タイ政府は一連のEV発展支援政策を打ち出しており、純電気自動車(BEV)の消費税率を8%から2%に引き下げたほか、EVの種類と型式に応じて7万~15万バーツの補助金を支給している。EVの道路税と輸入関税も減免し、EVの普及加速を図っている。
タイは比較的充実した自動車産業チェーンも持つ。1960年代に日本のトヨタ自動車が同国に完成車工場を設立し、本田技研工業(ホンダ)やいすゞ自動車、日産自動車などの日本勢が相次いで進出した。同国では毎年200万台を超える自動車が生産され、完成車メーカーに直接部品を提供する「ティア1」サプライヤーも700社近くに上る。
地理的優位性も際立っている。タイ市場は東南アジア地域だけでなく、オーストラリアやニュージーランド、英国、南アフリカなどの市場にも影響力を持つ。タイを拠点とすることで、東南アジア諸国連合(ASEAN)ひいては世界市場にサービスを提供できる。
23年12月にタイ・バンコクで開催された「タイ国際モーターエキスポ2023」では販売台数上位10社のうち、中国自動車メーカーが5社を占めた。主催側のデータによると、BYDは5455台の受注を獲得し、ホンダ、トヨタに次ぐ3位となった。BYDは23年に同国での販売台数が3万650台に上り、EVブランドでトップに立った。(新華社北京)
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