中国EV、タイ市場に浸透 産業発展にも貢献

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中国の電気自動車(EV)がタイで存在感を高めている。バンコクのスワンナプーム国際空港から市内に向かう高速道路では、上海汽車集団傘下の「名爵(MG)」、中国EV最大手の比亜迪(BYD)、広州汽車集団傘下の高級EVメーカー・広汽埃安新能源汽車(AION)など、中国EVの巨大な看板がいくつも目に入る。
 
中国EVはタイで、高い品質、革新的なデザイン、競争力ある価格を武器に消費者の人気を呼んでいる。中国企業も投資や工場設立でタイ自動車産業の構造転換・高度化に寄与している。今月4日にはBYD、17日にはAIONがタイ工場の稼働をスタートした。1カ月で2工場の稼働開始は、中国自動車メーカーのタイ進出熱を如実に示している。
 
販売データもこれを裏付けている。タイ自動車協会によると、2023年のEV登録台数は約7万6千台で、新車登録台数の12%を占めた。中国ブランドは上位4モデルを独占し、上位10モデルのうち8モデルを占めた。
 
BYDの王伝福董事長兼総裁はタイ工場の完成式で、タイの新車販売に占めるEVの割合は21年初めには1%足らずで、現在の12%へと急速に伸びたと指摘。中国市場の発展の歩みを参考にすれば、この数字が10%を超えれば飛躍的な発展を迎えるとし、「タイは新エネルギー車(NEV)の黄金成長期に突入しつつある」と自信を示した。
 
中国EVの市場参入は、タイの消費者の選択肢を豊富にしている。3月27日から4月7日にかけて開催された「第45回バンコク国際モーターショー(BIMS)」の来場者は「中国EVの創造的なデザインとスマート運転技術はタイの消費者にサプライズを与え続けている」と感嘆の声を上げた。BYDを1台持っており、息子にも中国ブランドのEVを1台買うつもりだという。
 
中国企業の投資・工場設立は、自身の海外事業展開を加速させると同時に、タイ自動車産業の構造転換・高度化にも寄与している。タイ電気自動車協会(EVAT)のスロイ・サンスニット副会長は取材に対し、中国の自動車メーカーが先端技術の強みを生かしタイに工場を設立、会社を合弁することで最も利益を受けるのは、タイの人々と自動車産業だとの見解を示した。
 
AIONはタイ市場を重視しており、17日の工場の稼働式では、初のグローバルモデルをラインオフさせた。広州汽車集団の曾慶洪董事長は、タイ工場を完成させたAIONは今後、最も進んだ技術と製品をタイに持ち込むと同時に、スマートな製造体系を構築することでタイの新エネ車生産能力の向上と産業エコシステムのグレードアップを支援していくと表明した。
 
スロイ副会長は、中国EVのタイ進出は消費者の選択肢を増やすだけでなく、先端技術ももたらし、タイのEV産業チェーンの整備を助け、雇用も促進すると指摘した。
 
タイ自動車研究所(TAI)のラッシャニダー 二ティパッタナーピラック戦略部長は、EV市場をリードする中国自動車メーカーがタイに進出することは、タイの既存の自動車関連企業との生産提携を深めると同時に、電池や充電器などのサプライチェーン(供給網)企業の発展も加速させ、タイの整ったEV産業チェーンの形成にプラスに働くと強調した。

広州汽車のEVブランド「AION」、タイのスマート工場が稼働 年間5万台の生産能力


(新華社バンコク)

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