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中国のモバイル決済サービス大手「微信支付(WeChatペイ)」が、携帯電話番号を使った送金機能をリリースした。
WeChatユーザーが他のユーザーに送金するためには、これまでは事前にWeChat上で相手に友人申請をする必要があったが、新機能を使うことで、相手のWeChatアカウントに登録されている携帯電話番号を知っていれば送金できるようになる。
新機能は現時点ではiOS環境でのみ利用でき、Android版はリリースされていないとのこと。
携帯電話番号を使った送金サービスにおいてWeChatに先んじていたのが、アリババグループのオンライン決済サービス「支付宝(アリペイ)」だ。
アリペイは2012年6月に携帯電話番号向け送金サービスをリリースした。ユーザーは、受取人のアリペイアカウントや銀行口座を知らなくても、受取人の携帯電話番号さえ分かれば送金手続きを行うことができる。受け取る側の携帯電話にはアリペイからのショートメッセージが送信されるので、これに返信することで入金手続きが完了する。また、受取人がアリペイアカウントを持っていなくても、アリペイからのショートメッセージに対し、銀行カードの番号を返信することで、入金手続きを完了できる。当時、このサービスは「スーパー送金」とも呼ばれた。
WeChatペイがその7年後になって携帯電話番号を使った送金サービスをリリースしたことは、アリペイとの競争が関係している。
数年前と比べ、スマホの販売台数が減少傾向に転じる中で、スマホによるモバイル決済の関連商品も伸び悩んでいる。もはや「ポストモバイル決済時代」に入ったと業界関係者が語っている。WeChatペイが発表したデータによると、WeChatペイを利用した1日あたりの取引回数はすでに10億回を超えており、約5000万の企業と個人事業主が利用している。また、36の業界と100以上の業種に浸透しているという。すでに巨大な市場シェアを占めるWeChatペイとアリペイにとって、今後の競争では、サービス運営の精緻化に的を絞ることが重要といえる。
これまでWeChatペイは、信用スコアリングサービス「WeChat Pay Points(微信支付分)」をリリースすることで、類似サービスであるアリペイの「芝麻信用(ゴマ信用)」に対抗してきた。また、アリババ系の「螞蟻花唄(Ant Check Later)」に対抗するために、クレジット決済サービス「分付(Fenfu)」をリリースする予定との報道もある。アリペイは世界規模でユーザー数が12億人に達し、WeChatペイも昨年末にユーザー数が8億人を突破した。
WeChatペイを運営するテンセント(騰訊)では、フィンテック関連事業がすでに同社の主な収入源の一つとなっており、その中で支払いサービスが大きなシェアを占めている。テンセントにとって、さらなるユーザー獲得のために、サービスのラインナップをより充実させることが急務となっている。友人申請や銀行カード不要の送金サービスを実施したことで、ユーザー間の取引はより利便性の高いものになるだろう。
(翻訳・田文)
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