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中国の車載電池最大手の寧徳時代(CATL)が、エネルギーサービスプロバイダー(ESP)への転身を加速している。同社が狙うのは、単なる部品供給にとどまらない、給電からリサイクルまでを支配する「エネルギーの資源循環(クローズドループ)」の構築だ。
1月末、CATL傘下の電池交換事業「時代電服(CAES)」のパートナー会議が厦門市で開催された。非公開で行われたこの会議には、中国石油化工(シノペック)や滴滴充電(DiDi Charging)などの巨頭が集結。CATLがメーカーの枠を超え、オープンな電池交換ネットワークを構築する決意が浮き彫りとなった。
驚異のスピードで進むインフラ整備
世界首位の車載電池メーカーとして不動の地位を築いたCATLは今、次なる成長エンジンを「給電インフラ」に定めている。その中核を担うのが、独自のモジュール式電池「チョコバー(板チョコ型)バッテリー」だ。
この電池パックは「20#」「25#」「35#」の3つの標準規格が用意されているため、市場に流通するEVの95%以上に適合可能という汎用性を誇る。さらに、車両本体と電池の所有権を切り離して提供するサブスクリプションモデル「BaaS(Battery as a Service)」に最適化されており、ユーザーの初期費用を抑える仕組みを整えた。
CAESが展開する電池交換ステーションは、2025年末時点で45都市の1000カ所に広がっている。2026年にはさらに2000カ所を新設し、合計3000カ所を突破する見込みだ。BaaSモデルで先行するEV大手の蔚来汽車(NIO)が10年近くかけて約3700カ所を建設したことを考えれば、その展開スピードは驚異的と言える。
CAESのロードマップは極めて明確だ。第1段階として自社主導で1000カ所を整備し、現在は第2段階である「自動車メーカーやエネルギー大手とのパートナーシップによる1万カ所体制」へと移行している。そして最終的には、社会全体を巻き込むプラットフォームとして3万カ所まで拡大するという長期目標を掲げている。
電池製造から、エネルギーの支配へ
CATLの曽毓群(ロビン・ゼン)会長は、電池交換の価値は効率性(1〜2分でエネルギー補給完了)だけにとどまらず、電池のライフサイクル全体を管理できることにあると考える。
CATLは電池交換ネットワークを通じて電池資産の一元管理と効率的なリサイクルを実現し、リチウムイオン電池の電解質となるリチウム塩の価格変動リスクを低減できるようになる。また、超急速充電は電力網に瞬間的な負荷を与えるのに対し、電池交換ステーションは分散型の蓄電設備として、中国のゼロカーボン政策を支える重要なインフラにもなり得る。
CAESはすでに、重慶市でそのビジネスモデルを確立している。2025年は電池交換ステーション70カ所余りを建設し、9月には黒字化を実現。12月には1日あたりの平均電池交換量が約30万キロワット時(kWh)に達し、ユーザーの高評価率は99.8%を超えた。1回の電池交換率の成功率は99.96%と極めて高く、リスクが確認された電池を60秒で取り出すシステムによって安全性も確保している。
EVメーカー各社が独自の給電システムでユーザーの囲い込みを図っているのとは対照的に、CAESは車両のメーカーに縛られない「標準化された公共サービス」に位置付けられる。CATLの曽会長は「(EVへの給電は)今後は家庭充電、急速充電、電池交換の三つ巴の戦いになる」とし、電池交換を本格的に普及させるためには、高級車市場から大衆車市場へとサービスを広げていく必要があると繰り返し強調した。
2026年には、CATLと提携するEVメーカーから10車種以上が発売される予定だ。うち、埃安(AION)の「UT Supper」は4万9900元(約110万円)からと格安で、月額339元(約7500円)の電池リースプランが用意されている。
目下、中国のEV市場では20万元(約440万円)以下の低中価格帯モデルが6割を超え、電池交換の本格普及を推進する絶好のチャンスが到来している。CATLは、「高コストで黒字化が難しい」とされていた電池交換モデルを、子会社であるCAESを通じて大規模展開し、持続可能な公共インフラに転換しつつある。
かつて電池の「箱」を売る製造業として世界を制したCATLは今、その箱の中身(エネルギー)とインフラを循環させる「エネルギー・サービス・プロバイダー(ESP)」へと、歴史的な転換期を迎えている。同社が描く3万拠点のネットワークが完成した時、それは単なる充電の選択肢ではなく、国家レベルのエネルギー需給を左右する巨大なプラットフォームへと進化を果たすだろう。
*1元=約22円で計算しています。
(翻訳・36kr Japan編集部)
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