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これまで急成長をみせていた中国の新エネルギー車(NEV)市場。昨年下半期からの補助金削減を受け、販売台数は12月時点まで5カ月連続で前月割れが続いた。とはいえ、新エネ車の中核技術向上と新エネルギー革命の到来により、自動車業界が世界的に転換期を迎えていることは確かだ。
36Krはこのほど、EV普及推進団体「中国電動汽車百人会(China EV 100)」の欧陽明高副理事長に新エネ車市場の先行きについて話を聞いた。以下はその抄訳。
中国の新エネ車とは、PHEV(プラグインハイブリッド)とEV(電気自動車)、水素を燃料とするFCV(燃料電池車)を指すが、個人的には今後5年はPHEVの成長拡大が続くとみている。5年後一旦ピークを迎えるが、自動車市場で主流となる期間は10年は続くだろう。つまり、2025年までにピークが訪れ、その後2030年には鈍化が始まり、2035年にはかなり減少するとみている。
今後5年はPHEVの成長拡大が続く
技術面やコスト面を総合的にみても、車選びの基準からみても、PHEVはその安全性やコストパフォーマンスの高さ、利便性、残存価値といったものが消費者のニーズに合っている。このことから、短期的に成長するのは市場原理にかなっている。
昨年、PHEVは自動車業界の中でも高い成長を遂げた。その理由として、主に2つの要因があげられる。1つは政策的要因で、燃費基準を満たすために、自動車メーカー各社が新エネ車の性能向上に取り組まざるを得なかったからだ。もう1つは市場要因で、PHEVは購入税が免除されるため、エンジン車やハイブリッド(HV)よりも安く買える上、大半の都市で通行規制を受けないため、短期的に高い優位性があるからだ。
技術面をみると、ホンダをはじめとするメーカーはシステムのプラットフォーム化や部品のモジュール化などを通じて、開発プロセスの効率化や開発費の削減、ムダの削減を進めている。中国系メーカーもこうした路線に向かっているのが現状だ。
このため、PHEVはエンジン車から純電気自動車(BEV)へ移行するまでの過渡期のつなぎ役としかならず、ピークを過ぎた後は徐々に減少していき、やがて表舞台から消えていくだろう。
その転換点が来るのが2030年だとみている。この時点で、電動走行距離が100キロのPHEVと500キロのBEVを比べた場合、もはやPHEVにコスト面での優位性はない上、その頃にはBEVの安全性に対する懸念も払拭されているだろう。BEVのほうがコストパフォーマンスも高くなっているわけだ。
2035年にはBEVが主流に
ユーザーが不安視するのがコストや安全性の問題だが、業界が解決に向け取り組んできたことで、すでに大きく改善している。車載電池は技術の向上に伴いコストが下がり続け、2019年時点で1ワット時当たり0.6~1元(約9.6~16円)程度まで低減された上、寿命も問題ではなくなった。
コスト度外視で急速充電すれば30分から45分で80%まで充電できるようにもなった。業界では、将来的に5分か10分の充電でどれだけ走れるようになるかに注目しており、この点が一番重要になるだろう。
安全性についての注目点も、電池システムや完成車、充電設備を含むシステム全体の安全性へと対象が拡大するようになった。車載電池メーカーの安全性に対する考え方が変わり、予防安全に重きを置くようになったことで、電池の安全性は継続的に向上している。
2035年にはBEVが自動車市場の主流になるだろう。次世代パワーエレクトロニクス技術の出現により、BEVの製造技術は向こう数年のうちにブレイクスルーが起きると考えられる。将来的に炭化ケイ素(SiC)製の半導体が採用されるようになれば、パワーコントロールユニット(PCU)の体積を80%低減することが可能となり、やがては車台の共通化を実現できるようになるだろう。
こうしたことはエンジン車ではできないため、2030年までにBEVは自動車市場、特に乗用車市場において、数ある技術ロードマップの中で最良の選択肢になるだろう。
(翻訳・北村光)
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