VWも使うスマートシャーシ 中国「BIBO」、次は電動ブレーキ
中国のスマートシャーシ開発メーカー「比博斯特(BIBO)」はこのほど、シリーズBの追加ラウンドで7億元(約160億円)以上を調達した。出資は浙江省新能源汽車産業基金が主導し、順創産投や杭資直投基金などが加わった。シリーズB全体での調達額は10億元(約230億円)を超えた。資金は製品の量産や先端技術の開発に充てられる。
BIBOは2021年に設立され、車両を電気信号で制御する「バイ・ワイヤ技術」の開発に注力している。ブレーキ、サスペンション、ステアリング、ドメインコントローラーなど、スマートシャーシ分野全体をカバーする製品ラインを展開しており、前後・左右・上下の3軸制御システムを安定して量産・出荷できる数少ない新興企業の一つだ。
主力製品には、ワンボックスタイプの統合ブレーキ制御システム「BIBC」、車両安定制御システム「BESC」、スマートサスペンション用エア供給システム「BAS」などがある。なかでもBIBCは最近、ドイツの認証機関DEKRAの認証を取得し、機能安全規格ISO26262の最高水準である「ASIL-D」にも認定された。同社によると、BIBCの納入はこれまでに15万セットを超え、受注残は150万セット超に上る。BESCの納入は60万セット超、BASは5万セット超に達した。

BIBO主力製品の納入数と受注残
納入先には、吉利汽車(Geely)、広州汽車(GAC)、一汽大衆(FAW-VW)、上汽大衆(SAIC-VW)、比亜迪(BYD)など主要自動車メーカーが並ぶ。海外の高級車ブランド向けサプライヤー認証も取得済みだ。2026年には独フォルクスワーゲン(VW)のサプライヤーとなり、10〜12月期に量産を始める予定だ。27年には売上高10億元(約230億円)と黒字化の達成を目標に掲げる。
今回の資金調達を受け、同社は次世代ブレーキの「本命」とされる電子機械式ブレーキ(EMB)への投資を強化する方針だ。業界では、2026年がEMB本格普及のスタート年になると見られており、複数の新興自動車メーカーがEMBの搭載計画を公表している。創業者の劉暁輝氏は、ブレーキ事業は短期で成果が出るものではなく量産化に時間がかかるとしたうえで、同社は長年EMBの先行開発を進めてきたとし、市場のタイミングを見極めて競争力の高い製品を投入する考えを示した。
スマートシャーシ分野の競争が激化するなか、BIBOは「多角展開+システム統合」という戦略を打ち出す。幅広い製品ラインの強みを生かし、ブレーキ・ステアリング・サスペンションのソフトとハードの一体化やプラットフォーム化を進める。同時にシステムレベルの統合でコストを下げ、価格と性能の両面で自動車メーカーの要求に応える。
自動車業界では、高度な自動運転には一段と精密なシャーシ制御が必要なうえ、メーカーのコスト削減志向やユーザー体験の向上ニーズも重なり、シャーシの統合とスマート化が加速している。中国国内の関連新興企業はすでに40社を超え、競争の激しさを増している。
こうした市場環境のもと、BIBOはハイエンド製品と海外展開を戦略の中心に据えている。低価格帯の競争を避け、利益率を確保する狙いだ。国内で事業を広げつつ、欧州の主要自動車メーカーとの提携交渉も進めており、近く具体的な成果が見込めるという。
*1元=約23円で計算しています。
(翻訳・畠中裕子)