データ不足を「世界モデル」で補う 中国InstAdapt、フィジカルAI基盤で資金調達
AIインフラを手がける中国スタートアップ「瞬適科技(InstAdapt)」がこのほど、シードラウンドで1000万ドル(約15億円)規模の資金を調達した。調達資金は、フィジカルAI(現実世界の物理法則を理解し、自律的に機器を制御するAI)データインフラ、世界モデルの研究開発、そしてチームの拡充に充てられる。
瞬適科技は上海科技大学のチームからスピンオフした。ロボットの大規模導入に伴う核心的な課題に着目している。それは、新しい環境、タスク、あるいはロボット本体に直面した際、データの再収集やイチからトレーニングを行うコストをいかに抑え、迅速な適応と継続的な学習を実現することだ。
この目標に向け、同社はデータ収集・ガバナンス、3D物理アセットおよびシーン生成、世界動作モデル(World Motion Model)、生成型強化学習を網羅する技術体系を構築した。その中核となるのは、実環境での物体、動作、接触関係をロボットが学習可能なデータに変換し、インターラクションかつ編集が可能な3D物理環境として再構築することだ。これにより、実データからシミュレーション学習を経て実機へ配置するループを通じ、限られた実データを繰り返し利用可能な学習経験へと拡張する。
さらに、瞬適科技は統一された世界動作モデルの研究も進めている。モデルはロボットの次の動作を生成するだけでなく、動作実行後の視覚情報、状態、接触の変化まで予測する。これにより、ロボットは単に「どう行動するか」を判断する段階から、「行動した後に何が起こるか」を予測する段階へと進化させるものである。
現在、同社はロボットハンドの操作や精密なタスクなどの現場での検証を完了している。米NVIDIAが開催するAI技術カンファレンス「NVIDIA GTC 2026」では、フィジカルAIインフラ技術に関するデモンストレーションが行われた。
*1ドル=約154円で計算しています。
(36Kr Japan編集部)