原文はこちら
セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け
メールマガジンに登録
中国通信事業大手「中国移動(チャイナモバイル)」の2019年度の決算報告によると、総売上高は7459億元(約12兆円)、純利益は1066億元(約1兆7000億円)となり、ともに市場予測を上回った。
四半期別に見ると、第4四半期の売上高は前年同期比6.0%増の1792億元(約2兆9000億円)で、第3四半期までの伸び率より大きく増えた。第4四半期の株主に帰属する純利益は前年同期比8.7%増の248億元(約4000億円)で、2019年度で唯一前年同期比増の四半期となった。
第4四半期の業績改善の要因
中国移動の売り上げは通信業務と商品の販売からなり、メインは通信業務である。第4四半期の業績改善も通信業務の売上高の増加によるものだ。財務レポートによると、2019年第4四半期の通信業務の売上高は前年同期比6%増の1614億元(約2兆6000億円)で、5四半期ぶりの伸び率となった。
契約者数も第4四半期は順調に増加し、第3四半期より800万増え、伸び率は2019年度で最高となった。
5Gの展開が好材料
市場は、第4四半期の業績よりも、中国移動が2020年に5Gでどのような動きを見せるかに注目している。業績発表会において、中国移動はいくつかの好材料を発表した。
まず、5Gのユーザーが順調に伸びていること。中国では2019年11月から5G通信プランの販売が始まり、中国移動、「中国電信(チャイナテレコム)」、「中国聯通(チャイナユニコム)」の3大キャリアが激しい競争を繰り広げている。2020年1月末の時点では、中国電信の5Gユーザー800万に対し、中国移動は670万しかいなかった。しかし、2月末には1月末より866万増え、1540万となった。
ユーザーが4Gから5Gに切り替えた影響もあり、中国移動のモバイルユーザーARPU(1契約あたりの売り上げ)は6.5%上がった。投資銀行の「中国国際金融(China International Capital)」が3月20日に発表したレポートによると、中国移動は2020年に5Gユーザー7000万を目標に設定しており、この数値を達成できれば、モバイルユーザーARPUが下落から上昇に転じる可能性もある。
次に、5Gの投資を増やしたことである。中国移動によると、2020年資本的支出予算は1798億元(約2兆9000億円)で、5G関連の投資は約1000億元(約1兆6000億円)である。2020年末までに30万以上の5G基地局を建設し、稼働できれば全国ほぼすべての都市の市街地で5Gが使えるようになる。
2019年と比べ、同社2020年の資本的支出予算は8.4%増え、5G関連の投資は前年の240 億元(約3800億円)の3倍以上になった。
JPモルガンは3月20日のレポートでこのことを取り上げ、中国移動の2020年の資本的支出が昨年より8%強しか増えず、また市場が予期した通りの基地局数を建設することを高く評価した。また、中国移動の経営陣は今後3年間5G投資を増やしても、資本的支出が増えないとしており、これらのことからJPモルガンは中国移動の格付けを「中立」から「買い」に引き上げ、株価目標を70香港ドル(約1000円)の現状維持とした。
大和証券も、中国移動の2020年の資本的支出は予想以下であり、5Gスマホに対する販売店などへ巨額な補助金を出す予定はないとしているため、投資家は5Gによるコストの増加を懸念しなくてもよいとのレポートを発表した。
ブルームバーグ社は26名のアナリストの見解を紹介したがその内訳は、中国移動について21名が「買い」、5名が「中立」であり、「売り」はなかった。12カ月の株価目標は75.58香港ドル(約1060円)だった。
3月20日、中国移動の株価は54.8香港ドル(約770円)となり、前日より13.58%も上がり、2008年10月以来の上昇幅を記録した。現在の時価総額は1.12兆元(約18兆円)である。
(翻訳:小六)
原文はこちら
セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け
メールマガジンに登録