産業用ロボットのノーコードプログラミングを実現 独「Wandelbots」が中国市場に参入

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産業のオートメーション化に対する企業のニーズによって産業用ロボット市場の発展が加速し、世界的に産業用ロボットの使用頻度も大幅に上昇した。IFR(国際ロボット連盟)のリポートでは、2018年、世界の産業用ロボット市場は年間販売台数が42万2000台、そのうち中国での販売台数は15万4000台で世界の36.5%のシェアを占めているという。ここ数年、中国は産業用ロボットの世界最大の市場となっている。また、IFRの予想では2022年までに産業用ロボットの販売台数は全世界で58万3500台に達する見込みだという。

産業用ロボットの川下産業でのニーズが増加し複雑化するのに伴って、エンドユーザーからのプログラミング効率や品質に対する要求も徐々に高くなってきている。産業用ロボットの柔軟性とプログラミングのしやすさを向上する鍵となるのはロボットティーチング技術の発展だ。産業用ロボットのティーチングは人と機械をつなぐヒューマン・マシン・インタラクション(HMI)であり、特定の軌道とプロセスに従ってロボットに操作させるものだ。しかし、どのようにしてHMIを向上させ、プログラミングの難度を下げるかが課題だった。

独「Wandelbots」は産業用ロボットシステムのプラットフォーム開発を手掛けている企業だ。同社のスマートティーチングは産業用ロボットのプログラミングを簡単にし、専門知識を持たない一般の生産労働者にもロボットに直接プログラミングを行うことが可能になると期待されている。

現在、ロボットにプログラミングができる専門的な人材は少ないため、人材コストが非常に高い割に効率が低い。またロボットプログラミングは言語の種類が多く、難度が高くコストもかかるため、ロボットのスマート化の速度が市場のニーズに応えられていない。

Wandelbotsの創業者兼CEOであるChristian Piechnick氏は川下産業のニーズに応え、ロボットをプログラミングし直すのは、その複雑さや時間および開発やメンテナンスのコストから二の足を踏んでしまう企業が多かったと語る。しかし同社の方法ならエンドユーザー自身にプログラミングをさせることでロボットが短時間で新しい技術を習得することができ、精度も高く、エンドユーザーが新製品を開発・発売することを加速できるという。

同社がリリースしたインタラクティブなティーチングシステム「TracePen」にはティーチングに使うTracePen、iPad、位置情報追跡システム、ホストコンピューターなど一連のハードウエアが含まれている。全プロセスにわたってノーコードプログラミングを可能にし、ロボットの操作性を向上させた。ユーザーにプログラミングの専門知識は必要なく、上記の一連のハードウエアをシステムに接続し、TracePenをロボットのアダプタに固定、キャリブレーションを完成させる。その後、対応するアプリケーション(溶接、接着、塗装など)を開き、TracePenを操作してロボットにデモンストレーションして見せる。ロボットはバックグラウンドのアルゴリズムで自動的にコードを生成し、デモンストレーションされた作業を実行する。デモンストレーションの過程で定義されたポイント、I/O信号、作業工程(パス)などはほぼリアルタイムでiPadのアプリに記録され、パスもiPad上でキーフレームを定義していくことでさらに微調整でき、使い勝手が良くなるようになっている。

業用ロボットのティーチングにはオンラインとオフライン二つの方式がある。オンラインでは通常、専用機器を使用もしくは手動でロボットを操作してティーチングするが、同社が開発したTracePenのスマートティーチングは従来の方式に比べて、利用シーンや識別精度、作業空間、センサー融合などの各方面で画期的である。

写真:曾麗敏博士、2019年世界ロボット大会(WRC)での講演

「Wandelbots Smart Teaching Reforms the Robotics Programming」より

Wandelbotsは今年下半期、中国市場に参入する予定だ。同社のスマートティーチングを配備すれば、企業は人件費や相応の研修コストを削減できる。現在、中国国内の一部メーカーが契約する意向を示している。同時に、ドイツの研究室と共同で5G技術に基づいた次世代のスマート製造システムを開発しており、5Gを利用することで遠隔操作などの機能を実現しているという。

Wandelbotsは2017年ドイツのドレスデンで設立。同年末にはエンジェルラウンドで90万ユーロ(約1億円)を調達、2018年12月には「Paua Ventures」「EQT Ventures」などからシリーズAで680万ユーロ(約8億円)を調達しており、今年の6月16日には英VC「83North」がリード・インベスターを、独シーメンス傘下の「ネクスト47」と米マイクロソフトのアーリーステージ企業を対象とした投資部門「M12」がコ・インベスターをつとめたシリーズBで3000万ドル(約32億円)を調達している。
(翻訳・山口幸子)

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