元DJI幹部が創業、ドローンによるスマート管理支援「Keehang」 課題と共に成長を加速

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人工知能(AI)とドローンの商用化が成熟するにつれて、AIとドローンを組み合わせたソリューションが工業、農業、建設などの分野でますます企業に活用されるようになっている。

2018年に設立された「深圳市奇航疆域技術(Keehang)」(以下「奇航」)は、ドローンによる情報収集およびデータ分析・処理サービスを提供するスマート維持管理ソリューションのプロバイダーだ。独自開発したデータ処理プラットフォームを介して、不動産開発業者向けのプロジェクト進捗管理や土木工事データ測定などのサービスを提供するほか、太陽光発電業者向けの太陽光発電ステーション損傷検査などのサービスを提供し、工事や維持管理業務におけるコスト削減や効率化を実現している。

現在、同社は品質マネジメントシステムの認証と、中国民用航空局が発行するドローン飛行の経営許可を取得しており、実用新案特許証明書を7件とソフトウェア著作権証明書8件を取得している。

奇航創業者の宋航宇CEOによれば、現在広範囲で活用されているドローンだが、データ処理・分析およびバックエンドでの応用についてはまだ効果的な活用に至っていないという。例えば、ドローンが収集した画像データは基本的なデータ精製だけで加工処理は行われていない。

奇航は、規格化・自動化・情報化によりドローンのデータ収集効率や検査効率を向上させ、加工処理によりバックエンドで収集したデータの価値を最大限に発揮させることを目指して設立された。

奇航の提供するソリューションは主にドローンに搭載したデータ収集デバイスと独自開発したクラウド管理プラットフォームから構成されている。ドローンはカメラ、センサーおよびその他検出デバイスを搭載し、高精度かつ効率的なデータ収集を可能にしている。

しかしこのソリューションの主な強みはクラウド管理プラットフォームにある。このプラットフォームはドローンの撮影とタスク実行を統一規格で管理し、データの効率的なクレンジング、精製、分析を自動的に行うため、プロセス全体のうち手作業で行うのは特定の実行作業だけになる。

例えば、太陽光発電ステーションの巡回点検では、ドローンが収集した大量の現場データをプラットフォームが自動で検出・分析し、問題のあるコンポーネントや型式情報などを業務作業指示書の形で担当者に通知する。担当者はその後現場に向かい具体的なメンテナンス作業を行う。

奇航は現在、建設や鉄道などの大手企業や交通警察局を初めとして多数の顧客にサービスを提供する。特に不動産開発分野で多く活用されており、工事進捗管理、潜在的な危険の検出、地形評価などをサポートし、従来の建設現場における機動性の悪さなどの問題を解決した。

また同社は、企業のコストコントロールを支援するための土木工事測量サービスも提供している。従来の工事と比べ、奇航のソリューションは土工量の精度を15%向上させ、基礎ピットの標高誤差は平均1.5%以下に抑えた(手動測量での誤差は平均7%)。また建設コストの見積もり精度を効果的に向上させ、投資総額が10億元(約178億円)を超えるプロジェクトにおいて平均10%のコスト削減を実現した。標準化された自動分析サービスの価格は手作業測量のわずか3分の1だ。

奇航がターゲットとする建設および太陽光発電産業の将来性は非常に明るい。建設産業については、国家統計局などのデータによると今後5年間で建設情報化市場には毎年792億元(約1兆4100億円)規模の成長スペースが見込めるという。太陽光発電産業については、新規発電所への国家投資と建設スピードの加速が続いており、国家統計局は中国の太陽光発電設備容量が2021年に300GWを超えると予想している。

大きなチャンスを前に、奇航は建設・不動産業界と太陽光発電業界向けにそれぞれ異なる顧客拡大計画を策定した。

不動産業界の顧客については、大口顧客への食い込みに注力し、業界上位10社のうち4~5社に同社のプロダクトを使用してもらうことを来年の目標としている。同時に、検査サービスや情報化コンテンツにロボットとセンサーをより多く導入し、サービスと機能面を充実させていくという。

太陽光発電業界の顧客についても、不動産分野と同じ手法を用い、ベンチマークとなる顧客と提携し、定期的な検証を行う。コスト削減や付加的な収入など奇航の維持管理や検査がもたらす価値を顧客に示すには6~10カ月かかるが、提携を体系的に進めた後に、さらに標準化されたプロダクトを構築し、徐々に普及拡大を進めていくとしている。

今後はより多くのロボット、ハードウェアおよびデータセンサーに接続し、企業向けにスマート資産管理を行うSaaSプラットフォームと組み合わせることで、顧客が労働集約型維持管理からスマートな維持管理に移行できるよう支援を行い、維持管理や巡回点検の産業化およびスマート化を実現することを目指している。

宋CEOはかつて民用ドローン世界最大手「DJI(大疆創新)」の産業応用部門のコアメンバーであり、ドローンの「MATRICE」シリーズなどの開発に成功し、大積載量無人ヘリコプターの分野で長い経験を持つ。共同創業者である馮成印氏は、かつてDJI傘下の住宅資産管理会社「大疆置業」の副社長とシンガポール系不動産会社「キャピタランド(CLD)」の地域統括部長を務め、20年以上の事業開発経験を持つ。馮氏が在任期間中に指揮を執ったDJI新本社ビル「天空之城」建設プロジェクトは、中国建築の最高賞「中国建設工程魯班賞」を受賞している。

(翻訳:浅田雅美)

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