IoT活用のスマート梱包技術、中国企業が開発 リユース材料とともにエコな物流を実現

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IoT活用のスマート梱包技術、中国企業が開発 リユース材料とともにエコな物流を実現

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スマート梱包技術とリユース梱包材のサービスを世界展開する中国企業「箱箱共用(HOREN GROUP)」が、このほどシリーズDで2億元(約40億円)を調達した。出資を主導したのは中関村科技租賃(Zhongguancun Science-Tech Leasing)。

米コンサル会社フロスト&サリバンの最新データによると、世界のリユーザブル・パッケージ(再利用可能な包装材)産業は2021年に1001億ドル(約14兆4800億円)規模に、中国の梱包材市場は約7600億元(約15兆2000億円)規模に達し、後者の90%以上を使い捨て梱包材が占めていることがわかった。

中国の梱包材業界が現在直面する課題は、使い捨て梱包材原料の中でも鉄鉱石とパルプが輸入に大きく依存しており、価格や供給面で主導権のない状態にあることだ。梱包材市場が急成長するなか、限りある天然資源を10年ひいては20年にわたって繰り返し使用できる資源に転換していく取り組みを加速させ、リユースのネットワークを全国的に構築して、工業生産やサプライチェーンの安全体制確立に寄与していくことが必要となっている。

箱箱共用は2013年に設立され、世界の製造業に向けてスマート梱包技術やリユースサービスを提供してきたプラットフォーム型のテック企業だ。同社は現在、さまざまな業界向けの梱包材、IoT、リユース管理を含めた総合的な開発力に加え、5G、ビッグデータ、AIによる意思決定支援などイノベーティブな技術を活かし、スマート化・一元化された全国規模の運営ネットワークを構築し、「梱包、サービス、データ」を一体にした環境配慮型サプライチェーンのソリューションを形成している。

箱箱共用の創業者でCEOの廖清新氏によると、同社は工業用リユーザブル・パッケージに関して産業チェーン全体で強みを有している。

工業用梱包材に関しては、シナリオごとに異なる運搬の条件に合わせ、さまざまなサイズや性能のリユーザブル・パッケージを展開しており、主にばら積み(未包装)の液体、自動車・家電部品、生鮮食品の3つを手がけている。

例えば、ばら積み液状貨物梱包材のリユースサービスでは、ブルーリユースとグリーンリユースの2つのソリューションを選択できるようになっている。

ブルーリユースはポリウレタン、アクリル酸乳剤、エポキシ樹脂、潤滑剤、インクなど危険性のない化学品を扱う業界に向けたものだ。液状製品を充填するプラスチックの内袋と折りたたみ可能な外容器を組み合わせた「バッグ・イン・ボックス」技術を採用し、安全で環境にやさしいサービスを打ち出している。四重の防漏構造、排出用ボールバルブ、結晶・凝固・分離防止などの革新的な技術に加え、自動充填ラインとのマッチングやコンテナの水鉄聯運(船舶と鉄道による連携輸送)などいくつもの強みがある。

グリーンリユースはジュースやジャム、乳製品、調味料、食用油、シロップ、化粧品など食品と家庭用化学製品の業界に特化した衛生的なサービスだ。FDA(米食品医薬品局)承認のプラスチック材を使用した超大容量容器(約1250リットル)を用いる。充填物を残らず絞り出す装置や高温殺菌排出バルブを装着できるため、従来の使い捨て梱包材が抱えてきた湿気やサビ・カビに弱い、残留物が多い、取り扱いやメンテナンスが煩雑でコストやムダが多いなどの問題点を解消できる。

デジタル化プラットフォームのサービスに関しては、コンテナ利用サービスのPaaSとコンテナ管理サービスのSaaSの2つを運営している。

コンテナ利用PaaSは、デジタル化技術と梱包材リユースサービスのネットワークを高度に融合し、斬新な「パッケージング・アズ・ア・サービス(Packaging as a Service)」としてサプライチェーン川上・川下企業に標準化された梱包材利用サービスを提供する。顧客はこのPaaSから直接、あるいはモバイル端末やSNSアプリWeChat(微信)の公式アカウントなどから簡単にサービスが利用できる。

コンテナ管理 SaaSは主にIoT、アルゴリズム、ビッグデータを基盤として、資産管理の担当者が資産の運営状況を完全に把握できるよう、資産管理・監視警報・効率最適化センターの3つを柱としたサービスを提供している。ユーザーは貨物の現在地や移動履歴、ステータス(在庫・紛失・遊休など)などの情報をセンサーからリアルタイムで取得でき、梱包材の生産から回収までの全サイクルを管理できる。

箱箱共用ではさらに、これらを基にしたカーボンフットプリントやカーボンアカウンティングなどカーボンマネジメントのサービスも提供している。

デジタル化された箱箱共用のリユース運営サービスシステム(画像提供:箱箱共用)

現在、箱箱共用のサービスネットワークは中国の大多数のエリアを網羅している。主要な産業地帯や経済圏に30カ所のセンター倉庫を設け、川上・川下に2500カ所以上の拠点を置いて、200万セットのリユース梱包材を投入しているという。取引先には化学メーカーの万華化学(Wanhua Chemical Group)、家電メーカーの美的(Midea)やHaier(ハイアール)、ボッシュ、ハネウェル、ロレアル、日本ペイントなどが含まれ、現時点で約2000社の有名グローバル企業やトップ企業と契約している。

廖CEOは「中国の工業用物流シーン全体で梱包材を使い捨てからリユースや共用が可能なものに変える場合、最低でも5兆元(約100兆円)の投資が必要となるため、資本と産業の双方が関わる新しい市場、新しいステージが生まれるだろう」と述べている。

箱箱共用は中国以外にも米国や日本、英国、ドイツなどでローカライズチームと事務所を設けており、全世界に向けて一層のサービス力とブランド力を構築していく計画だ。

(翻訳・山下にか)

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