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AI生成コンテンツ(AIGC)はこの半年で、馴染みのない概念から流行りのものへと様変わりし、各業界へ普及した。企業は効率と生産性を向上させるAIの能力に熱狂して、我先にと導入を進めている。効率性を求めるという点で、変化のめまぐるしいアパレル業界にはAI導入に前のめりになるだけの理由がある。
アパレル業界には主に2つの特徴がある。1つは大量の新商品に依存していることだ。アパレルメーカーは継続的に新商品を投入しなければ、消費者をつなぎとめることも、多様なニーズを満たすこともできない。もう1つは、創造性に大きく依存していることだ。アイデアは一足飛びに生まれないため、デザイナーと製作チームがすり合わせを重ねる必要がある。
「ファッション業界はAIGCと非常に相性が良く、AIGCを試すのにとても適している」。そう語るのはアパレルデザインツール「Style3D」の創業者・劉郴CEOだ。
同社は2015年に設立された中国の産業用ソフトウエア企業で、主にアパレルメーカーにシミュレーションエンジンの基盤技術と産業チェーン向けソフトウエアを提供している。3Dデザインのコラボレーションプラットフォームを構築して、アパレル業界のデジタル化を後押ししてきた。劉CEOによると、Style3Dはサンプル作成の数を大幅に減らし、デザイン・開発サイクルを従来の1~2カ月から3~6日に短縮できるという。
一般的にアパレル製造は従来型の産業チェーンであり、デジタル化とはあまり相いれないと考えられている。しかし、アパレル業界は原料からデザイン、生産、完成品に至る各工程にかなりまとまった構造化データが存在する。例えば、アパレルでよく使われる色見本帳の「パントン」には2310の色番号があり、これを使ってAIモデルにアパレル業界のことをさらに学習させることも可能になる。
Style3DはAIGCツール向けにアパレル業界特化型のモデルとして開発され、パターン、型、材質などをAIで生成する機能をに搭載している。
劉CEOは、AIGCと3Dデジタル技術を組み合わせれば、素材、型紙、デザイン、サンプル、製作などの各工程においてユーザーの使い勝手が良くなり、豊富なアイデアが生まれると説明した。
Style3Dの強みはアパレル業界に関する大量のデータを学習していることにあり、そのAIツールは汎用型生成AIよりも正確なコンテンツを生成できるという。
また、劉CEOは電子商取引(EC)の新しいスタイルを打ち出した。Style3DのAIツールでは、ユーザーが業界用語でプロンプト(指示文)を入力すると、システムがそれに対応するすべての衣服要素を集める。そして3D生地処理や3D衣服デザインを組み合わせることで、迅速に3Dデジタルサンプルを作成できる。Style3Dではデザイナーも簡単なプロンプトでリアルなデジタルモデルを作れるようになっており、サンプルを着せたデジタルモデルはブランドが求める背景と組み合わせて、最終的にECサイトで使われる。
AIGCはアパレル業界の可能性をも広げる。劉CEOは、ユーザーがStyle3Dに既存の衣服のデザインを2種類入力するだけで、複数の新しいデザインをすぐさま生み出せると語り、「こうした手法は将来的にアパレルの開発方式を大きく変える可能性がある」との見方を示した。
シミュレーションとモデリング技術は同社のコア技術だ。劉CEOは「Style3Dはバーチャルとリアルをつなげるプロセスだ。我々が取り組んでいるのは現実世界のデジタル化であり、シミュレーションを現実世界からデジタル世界へ移行させることで、これはコンピューターグラフィックスの最も難しい分野の一つになる」と話した。
中国の繊維・アパレル産業は市場規模が数兆元(十数兆~百数十兆円)に上り、ITの発展と消費需要の拡大に伴ってデジタル化に向かっている。劉CEOはStyle3Dの役割について「より新しく優れたツールを業界に提供すること」と語る。同社は今後もAIモデルのアップグレードを継続し、サービスを改良していく方針だ。
(翻訳・大谷晶洋)
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