中国の自動車部品リサイクル、東南アジアを拠点に世界拡大へ 新エネ車も視野に

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中国の自動車部品リサイクル、東南アジアを拠点に世界拡大へ 新エネ車も視野に

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自動車のリサイクル部品を手がける「源件星球(Yuan Planet)」がシリーズB1とB2で、数千万ドル(十数億~百数十億円)を調達した。出資には戈壁大湾区(Gobi GBA)、愉悦資本(Joy Capital)、蔚来資本(NIO Capital)などが参加。同社はこの3年間で4回の資金調達を終えている。

源件星球は中国最大の自動車リサイクル部品サプライヤーを目指し、リサイクル部品の電子商取引(EC)プラットフォームを作ると共に、自動車部品のリユース、リビルト、販売のネットワーク構築を進めている。主に自動車部品を回収して川下のアフターサービス市場の修理業者などに提供する事業と、車体の金属材料を回収、分類、処理することで再利用可能な原料に変える事業を展開している。

自動車リサイクル部品市場における従来の流通方式を見ると、川上の自動車解体業者と修理工場が部品の供給源となっているが、廃車の解体能力が不足しているため、部品販売の割合が非常に低い。川中では転売・販売業者が流通を担うが、販売経路が複雑なため、一般的に30%以上のマージンが上乗せされる。そして川下の修理工場や部品販売店などが最終的な消費先となる。

同社は自動車リサイクル部品のデータベースやクラウドSaaS管理プラットフォームなどを含むサプライチェーンプラットフォームを構築。川上ではスマート価格決定システムによって使用年数が浅い廃車を購入し、川中で自社の解体工場を通じて部品の販売比率と解体能力を向上させ、川下で独自の販売チャネルを通じて修理工場や販売店に直販することで、従来の流通方式に存在する弊害や欠陥を取り除いた。

現在、源件星球は海外市場の拡大を図っている。中国の一部の旧車に使われていたエンジンやトランスミッション、ステアリング、前後車軸、サスペンションなどの部品は海外市場でも汎用性が高いため、中国国内の解体費用がマレーシアなどに比べ上昇したという。

そのため同社は、マレーシアの解体工場を中継拠点として米国、オーストラリア、日本、中国などの部品供給源とつなぎ、自動車の型式差を利用して東南アジア、南アジア、中東、アフリカなどに製品を輸出すると共に、この新しい拠点からグローバル市場に切り込もうとしている。創業者の李洋CEOによると、同社製品の約10%が海外向けに販売されているという。

マレーシアを拠点に選んだことについて李CEOは「マレーシアはドバイに次ぐ世界第2のリサイクル部品集散地だ。地理的条件や国の政策などの理由から、この2カ国はリサイクル部品の貿易にとても適している。中国はマレーシアの方が近いので、当社はここを中継拠点に選んだ」と説明した。

源件星球の解体工場(画像:企業提供)

同社は新エネルギー自動車にも目を向けている。電気自動車(EV)の保有台数は増加の一途をたどっており、ガソリン車に比べて使用年数が平均10年ほど短いため、EVのリサイクル部品市場が発展しつつある。同社の各解体工場には新エネルギー車用の解体ラインがあり、バッテリーパックをセルに分解するほか、ガソリン車の解体実績と能力を生かしてリサイクル部品やその他材料の解体を行っている。

業界が急成長しているにもかかわらず、自動車リサイクル部品業界は依然として不透明な取引価格、円滑さを欠いた流通チャネル、統一されていない品質基準などの課題に直面している。しかし、廃車解体および部品リビルト業界に対する国の政策が明確になりサポートが手厚くなれば、業界はより環境にやさしく、排出ガス削減に貢献する方向へ発展すると期待されている。

(翻訳・大谷晶洋)

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