欧米が先行したファッションレンタルサービス 中国で成功しない理由

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2015年頃から広がり始めたシェアリングエコノミーの波に乗って、定額制で洋服が借り放題、または割安で購入できるサブスクリプション(サブスク)というビジネスモデルが、ファッション業界で注目されている。最近では、多くのアパレル企業が自社ブランドのサブスク型レンタル事業を模索しているようだ。

サブスクが欧米のファストファッションの不況を救う

洋服レンタル事業は欧米のアパレル業界に徐々に浸透していき、不況を救う解決策としても期待が高まっている。

ここ数年業績は右肩下がりの米ファッションブランド最大手GAP傘下の「Banana Republic」は、女性向けファッションレンタルサービス「Style Passport」を9月にローンチした。この事業へは、会社の業績への貢献と若年層支持の拡大が期待されている。

米「Urban Outfitters」もレディースファッションの固定月額制のサブスク「Nuuly」を8月にローンチ。88ドル(約9300円)で傘下のブランド「Free People」、「Anthropologies」のほか100以上のブランドが借り放題だ。現在会員数5万人、年商は5000万ドル(約53億円)を超える。

他に「H&M」、「Ann Taylor」、「Express Inc.」、「New York and Co. In」などもファッションレンタル事業に参入しているという。

ファッションレンタルは中国で成功しない

欧米で急速に浸透しているサブスクだが、中国では振るわない。

業界をリードする「衣二三(YCloset)」、「女神派(MSParis)」が2018年に相次いで資金調達しているが、半年前から投資マネーの動きは止まったままだ。

2017年に1億2700万元(約19億円)を超える資金を調達したファッションレンタル「多啦衣夢(DORA’S DREAM)」は、同年、アプリが閉鎖され会費デポジットの返却やサプライヤー向け支払いが滞った。その後、女性向けサブスク型EC「遞衣(DELIVERY)」に転身したが、微信(WeChat)公式アカウントとミニプログラムのサービスは停止している。

もう一つのファッションレンタル大手「美麗租(MEILIZU)」の微信オンラインショップも、「サービス一時停止」と表示されたままだ。

美麗租の微信オンラインショップ

公開情報によれば、美麗租の子会社の「北京美麗租網絡科技有限公司」は複数の労働紛争を抱えているという。この他にも、掲載されていた画像と洋服の実物が異なる、偽ブランドを取り扱っているなどの次々と問題が起こり、サブスク型レンタル業界に共通する問題となっている。

ウェディングドレスや礼服などのレンタルから始まったサブスクだが、ネットの普及により日常的に利用されるようになった。わずか一着分の利用料で、好きな洋服を1カ月自由に着回せる。購入するより借りるメリットの方が大きく、コスパが良いことが人気の理由だ。

しかし、「世界の工場」としての成熟したアパレルサプライチェーン(供給網)と発達したEC市場を擁する中国では、サブスク型レンタル業が収益を上げるのは容易ではない。

海外発のビジネスモデルは中国で成功できるか?

米国アパレル業界の救世主となっているファッションレンタルが、中国で行き詰っている最大の理由は、各ファッションレンタルプラットフォームがレンタルではなく、販売を目的にしているからだ。

商品を仕入れて販売するとなれば、商品の値引きや流通マージン、プラットフォームの集客にもコストがかさむ。一方コンバージョン率は限られており収益を確保するのは難しい。

これとは対照的に、米Rent the Runwayやアメリカ発で中国に進出している「托特衣箱(LE TOTE )」などは、レンタル事業をメインにおこない、販売には手を出していない。しかし、料金設定を低くし過ぎため赤字に陥り、値上げが予定されている。

GAPやH&Mも自社でレンタル事業を展開しており、値引販売はしていない。新規ユーザーの開拓とブランド定着率を上げることが目的だからだ。しかし、中国の消費者は、低価格で何千着もの洋服が借り放題になるサービスに慣れてしまっている。そのうえ送料・クリーニング無料や値引き合戦もある。中国でサブスク型ファッションレンタルを成功させるには、よほどの工夫が必要かもしれない。ちなみに、中国で成功している「LE TOTE」 の月額499元(約7500円)は国内最高だ。
(翻訳:貴美華)

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