次世代型超音波センサー、車のスマート化で需要増 中国企業がコア部品の量産拡大へ

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次世代型超音波センサー、車のスマート化で需要増 中国企業がコア部品の量産拡大へ

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超音波センサーのコア部品を開発する「佑航科技(Youhang Technology)」がこのほど、プレシリーズAで数千万元(数億~十数億円)を調達した。中南創投(South China Venture Capital)が出資を主導し、鼎嘉資本も出資した。調達した資金は次世代型車載超音波センサー用チップのテストや量産、超音波センサー用部品の生産能力拡大などに用いられる。

佑航科技は2021年に設立された車載超音波センサーの2次サプライヤーで、1次サプライヤー向けに超音波センサーのコア部品やチップなどを提供している。

中国の自動車業界でスマート化が加速し続けるなか、超音波センサーはスマートカーにとって欠かせない部品となっている。超音波センサーはトランスデューサーに電気信号を送り、圧電セラミックの膨張と収縮を利用して発信した超音波をレシーバーで受信し、また電気信号に変換するというものだ。

これまで主に自動車後退時の距離計測に活用されていた超音波センサーだが、今では自動駐車などにも用途が拡大している。こうした運転支援機能にも使用されるということで、超音波センサーの測距機能や死角検知機能に求められる水準はいっそう高くなっている。

このニーズに応えるべく、業界では現行の超音波センサーよりも死角が少なく、検出距離の長い「AK2超音波センサー」など次世代技術の開発が進んでいる。

AK2超音波センサーはトランスデューサーといったコア部品、筐体、チップなどで構成されており、コア部品とチップだけで部品コスト全体の60%を占める。現在、こうした次世代型超音波センサーのコア部品は独ボッシュや仏ヴァレオなど海外の1次サプライヤーが掌握しており、チップもほとんどがボッシュや独Elmosのものだ。このため、中国の業界では次世代超音波センサーの部品の国産化を望む声も多い。

佑航科技はまずセンサーのコア部品開発から着手した。創業者の謝暁静氏によると、すでに昨年末にAK2超音波センサーのコア部品の大規模納品を実現したという。現在は3つの全自動生産ラインを有しており、今年の販売個数は2000万個に達すると見込んでいる。今年末には生産ラインを2つ追加する予定で、来年には年間4000万個のコア部品を生産できるようになるとのことだ。

また車載用超音波センサーのチップに特化した開発チームを立ち上げ、超音波センサーのコア部品開発で蓄積したノウハウを生かしながら、国内規格にかなった次世代型車載超音波センサーのチップ開発にも注力している。謝氏によると、チームは車載高速データインターフェースや高いリフレッシュレートなどいくつもの技術でブレークスルーを果たし、超音波センサーの測距精度の向上や死角低減につながったという。現在は超音波関連の国内外の1次サプライヤーと共同でテストを行っており、年明けには次世代型超音波センサー用チップの量産を始める予定だ。

同社が開発しているチップには光学式雨量センサーや高電圧ブラシレスモーターコントローラー用のチップも含まれており、アクティブシートベルトやワイパー制御、電動パーキングブレーキ、自動パワードアなどに利用される。

今回の資金調達について中南創投の投資ディレクター李志遠氏は、スマートカー普及率の高まりやサプライチェーン国産化のニーズに伴い、国産の車載センサーやチップの市場には大きな成長の可能性があると指摘。「佑航科技はカーエレクトロニクスや半導体分野における長年の経験や技術開発の優位性、超音波センサーなど車載センサーに関わる業界リソースを生かして、高性能のセンサー用チップを必要とする自動車産業に応えるうえで重要な役割を果たしていくだろう」と語った。

(翻訳・畠中裕子)

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