ペロブスカイト単結晶の汎用成長技術、中国・華東理工大学が独自開発

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中国上海市にある華東理工大学のクリーンエネルギー材料・デバイスチームはこのほど、ペロブスカイト単結晶の汎用成長技術を独自に開発したと明らかにした。結晶成長期間を7日から1.5日に短縮し、メタルハライドペロブスカイト型半導体30種類余りの低温、迅速、制御可能な製造を実現し、次世代高性能光電子デバイスに豊富な材料ライブラリーを提供した。関連の成果は、国際的な学術誌「ネイチャー・コミュニケーションズ」で発表された。

メタルハライドペロブスカイトは、優れた光電子特性を持ち、溶液法による製造が可能な新しいタイプの半導体材料で、太陽電池、発光ダイオード、放射線検出器などのデバイス製造への応用が期待されている。しかし、これらのデバイスは現在、主に光学活性材料としてペロブスカイト多結晶薄膜を使用しており、固有の欠陥がデバイスの性能と寿命を著しく低下させている。欠陥密度が多結晶薄膜の10万分の1で、優れた輸送能力と安定性を兼ね備えたペロブスカイト単結晶を使用すれば、より高性能な光電子デバイスを製造できる。

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長年、ペロブスカイト単結晶の汎用的な製造法は世界的にも確立されておらず、従来の方法では、高温環境下でゆっくりと成長させ、数ミリ程度の単結晶数種類を得ることしかできなかったため、実用的な応用はごく限られていた。同大学のチームは、ペロブスカイト単結晶の成長に関わる核生成、溶解、物質移動、反応などさまざまな過程について、複数実験による論証と理論シミュレーションを結びつけ、物質移動過程が結晶成長速度を決定づけるキーファクターであることを明らかにすることで、2-メトキシエタノールを代表とする成長システムを開発し、多座配位子により精密に制御したミセルの動的過程によって、溶質の拡散係数を4倍に高めた。高溶質流束システムで、研究者は結晶成長環境の温度を60度低下させ、結晶成長速度を5倍に高め、成長期間を7日から1.5日に短縮することに成功した。

このブレークスルーに基づき、チームは高性能単結晶放射線検出器を製作、自己出力型放射線イメージングを実現しただけでなく、高電圧動作の制限を克服。放射線量も大幅に低減し、胸部X線撮影の場合、新デバイスの放射線量は従来の医療診断機器の1%にとどまっている。(新華社上海)

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