中国新興、電解槽向け電源を強化 グリーン水素の低コスト化狙う
水素製造装置用電源を開発する中国スタートアップ「啓航氫能(Cheehong Hydrogen)」はこのほど、厦門高新投(Hi-tech VC)などから資金を調達した。資金は主に、電解槽向け電源やオフグリッド水素製造技術の開発、製品の改良に充てられる。
Cheehongは2024年4月設立。再生可能エネルギーの電力で水素を製造・貯蔵し、必要な時に燃料電池で発電する「電力水素連携」に特化し、設備の開発から生産、販売までを手がけている。福建省と廈門(アモイ)市が共同で設立した研究機関や厦門大学のリソースを活用し、技術の商用化を進めている。
電⼒の制御や稼働タイミングを最適化
風力発電や太陽光発電といった再生可能エネルギーの割合がますます高まるなか、供給が安定しない電力をいかにグリーン水素へと効率的に転換するかが、水素エネルギー産業を発展させるためのポイントになっている。特に「電力水素連携」は、電力の制御や稼働のタイミング、オフグリッド水素製造システムの構成を最適化することで、水素製造の安定性と効率を高められるため、コスト削減につながるシステムとして注目されている。
ほとんどのメーカーは汎用型電源を供給しているが、同社は電解槽の仕様に合わせたスマート電源システムを開発することにした。独自の制御アルゴリズムにより、コールドスタート時に起こるサージ電流や高調波の影響、装置劣化に伴う内部抵抗の増加といった問題を適切に処理し、水素製造システムの稼働効率を向上させる。
⼩型から⼤型まで対応
製品は、電解槽用IGBT(絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ)式電源、オフグリッド・マイクログリッド水素製造ソリューション、燃料電池用インバーターの3つを中心にラインアップが構築されている。

オフグリッド・マイクログリッド水素製造ソリューション
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電解槽用IGBT(絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ)式電源
電解槽向け電源は、出力30キロワット(kW)~20メガワット(MW)で液冷式と空冷式の2種類を展開している。プロトン交換膜(PEM)型電解槽や太陽光発電の電力を使う水素製造装置など4000ノルマルリューベ(N㎥)までの水素製造に対応する。また、より効率が高くコストの低い次世代電源の開発も計画している。
マイクログリッド水素製造向けには、出力200kW~50MWの電源ソリューションを開発した。同社の標準化されたソリューションなら、直流1500Vもしくは交流中圧10~35kVのアーキテクチャによる中・長距離送電網を素早く構築できる。
中国主要50社以上と提携
製品の商用化も進む。同社は電解槽メーカーや水素エネルギープロジェクト向けに電源やソリューションを提供しており、中国国内の主要な電解槽メーカー50社以上と提携したほか、海外展開も開始した。
水素製造用電源をめぐる競争が激化する中、魏聞CTOは自社の強みとして3点を挙げる。第一に、長年にわたり超高出力の電源技術を手がけてきた開発力の高さで、主力製品の性能はすでに世界トップクラスにあるという。第二に、研究機関や大学の電気化学研究リソースを活用し、電解槽の仕様に合わせて最適化した電源を開発している点。そして第三に、柔軟な開発体制により、製品アップグレードにかかる期間を業界平均の約3年から1年半〜2年へと短縮し、顧客の要望や技術の進歩に素早く対応している点だという。
(翻訳・大谷晶洋)