ChatGptの発表以降、広告やアート、ゲームの制作効率を上げるさまざまな人工知能（AI）ツールが続々と登場している。競争が激化する市場で存在感を示すのが、広告用ショート動画に特化した生成AIをSaaSで提供する「布爾向量（BOOLV）」だ。

BOOLVは2021年に設立され、越境電子商取引（EC）で世界各地の消費者に直接商品を届ける衣料品ブランドにサービスを提供している。24年3月に発表した生成AIツール「Boolvideo」は、商品のURLやテキスト、画像などからワンクリックで動画を生成できる。

操作方法はシンプルかつ直感的で、ユーザー登録を済ませれば操作画面で動画の生成方式を選択できるようになる。字幕、音声、効果音をつけた動画があっという間に出来上がるだけでなく、出力する動画の縦横比を選ぶこともできる。Boolvideoは、Shopify（ショッピファイ）やアマゾン、Etsy（エッツィ）などECサイトにも対応しているため、これらのECサイトに出品する商品情報のリンクを読み取って、動画を生成することも可能。さらに、Boolvideoは動画で使用する音声を多言語に切り替える機能も備えており、さまざまな市場のニーズに応えられるようになる。

Boolvideoには、動画の個性や魅力を高める音楽やエフェクトなどの編集素材が豊富に用意されているほか、AIアシスタント機能が商品説明などの文案作成もサポートしてくれる。また、AIを用いた一連のミニツールを使って背景削除や画像の動画化、画像の手直しもできるため、動画の制作効率とクリエイティビティが高まると同時に制作コストも大きく減らせる。

BOOLVは、顧客のEC事業者にサービスを提供する過程で、効果の大きかった動画を細かく分析した結果、美しさを追求した動画のROI（費用対効果）が高いことに気がついたという。そこで同社は広州美術学院の協力を仰ぎ、さまざまなシナリオに合わせたより芸術性の高い動画テンプレートを作成することで、動画の魅力と広告効果を向上させることに成功した。

BOOLV創業者の王慶氏によると、広告動画の生成は技術力さえあればいいというものではなく、ビジネスやビジュアル、美的センスといった要素をAI技術に重ね合わせてはじめて実際の効果に結びつくという。同社は基本的な生成規則をベースに、素材の配列や組み合わせのバリエーションを増やし、生成される動画の重複を抑えることで、ユーザーが常に新鮮な広告動画を生成できるよう努めている。

同社は月額制のサブスクリプションモデルでサービスを提供しており、必要なサービスに応じて段階的に料金を設定している。収益化のスピードはすでに創業チームの予想を超え、顧客も越境ECを手がける大手衣料品ブランドから、さまざまな商品を取り扱う企業へと広がっている。

（翻訳・田村広子）

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