自動運転技術を支える「LiDAR」の量産を目指す「未感科技」、その強みとは

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自動運転技術を支える「LiDAR」の量産を目指す「未感科技」、その強みとは

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光センサー「LiDAR(ライダー)」、超音波レーダー、ミリ波レーダーとマルチカメラシステムは、自動運転技術を支える重要な技術だ。フランスの市場調査会社Yole Développementが今年発表した報告では、LiDARの市場規模は2018年の13億ドル(約1400億円)から2024年には60億ドル(約6500億円)に成長し、うち市場の70%は自動車分野に由来するものになると予測されている。多くのスタートアップ企業と投資会社が注目している将来有望な市場だ。

2018年5月に創業した「未感科技(SenseFuture)」は自動運転LiDARサプライヤーだ。同社は今年5月、「中科創星(CasStar)」がリードインベスター、「久友資本(JIUYO Capital)」がコ・インベスターを務めるエンジェルシリーズで1千万元(約1億5000万円)の資金を調達したと発表した。

未感科技の創業者兼CEO厳偉振氏は、現在国内外の自動運転車に搭載されているLiDARの距離検出仕様はほとんどが200mだが、雨や雪、霧や煙霧などの悪天候下では、検出距離が数十メートルに短縮されると語った。そのため、実際の検出距離を200m以上に維持するには、少なくとも500mの仕様が必要となる。さらに、幹線輸送の自動運転トラックの場合、制動距離が長いため、LiDARの検出距離は500-1000m必要となる。この検出距離ならば安全性は向上し、燃料消費も削減できる。

この目標を実現するため、未感科技は光通信とレーダー分野ですでに商用化されている物理層信号処理技術を応用し、LiDARソリューション2.0を提示した。他のLiDARメーカーが採用している、パルス光を発して反射光の遅延時間から距離を計測するToF(タイム・オブ・フライト)方式のフェーズ1.0とは異なり、同社の「LiDAR2.0」は高い演算力を持つ物理層DSPチップを採用し、同様の光電子デバイス使用及び人の目に安全なレーザー出力という条件下で500~1000mの測定範囲を実現する。また、雨や雪、霧や煙霧などの視界の悪い天候下でも200m以上の検出距離を維持できる。

このような最先端の物理層信号処理技術を応用できる理由は、未感科技に優秀な人材が集まっているからだ。ファーウェイ(華為技術)、中興通訊(ZTE)と富士通の出身者、そして北京大学や清華大学の卒業生などから構成されている同社の技術チームは、オプトエレクトロニクスやアルゴリズム、通信等専門的分野で100件以上の学術論文を発表し、国内外で発明特許を30件以上取得している。厳氏もかつて富士通とファーウェイ傘下の「海思半導体(HiSilicon)」に勤務していたことがあり、北京大学電子情報学学士と光通信学修士の学位を取得している。

厳氏によると、同社はファーウェイのハイエンド光モジュールの製造方法とプロセスを応用してLiDARの研究開発を進めており、IPD(統合製品開発)を得意とし、量産に豊富な経験を持っているという。

未感科技は、最近、波長905nmの16ライン対応LiDARのサンプル機を発表し、デモンストレーションを実施した。検出距離400m(反射率は約20%)、レーザー製品の安全基準class1を満たしている仕様で、この製品は年内に供給できるという。

「LiDAR2.0」は新しいアルゴリズムによって騒音が抑えられ、干渉を除去してエコー信号が再構築できるという長所がある。そのため、室内と距離400mのテスト場での3次元ポイントクラウドの作成実験の結果は、いずれも期待したレベルに達していたという。

画像:未感科技より

未感科技は年末までにその他の仕様のLiDARサンプル機を順次発表する予定。来年には検出距離仕様が500mの16ライン対応LiDARを100台前後量産して、再来年には1000台前後量産する計画だ。

(画像:pexelsより)
(翻訳・桃紅柳緑)

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