DeepSeek、初の外部調達で約1兆2000億円 創業者が自腹で約4割出資
中国の人工知能(AI)開発企業・DeepSeek(ディープシーク)は6月16日、設立以来初の外部資金調達を完了した。調達規模は約510億元(約1兆2000億円 )、調達後の企業評価額は約4000億元(約9兆6000億円) に達した。中国のAI企業による単一ラウンドでの調達額として過去最高を更新した。
DeepSeekは「資金を調達しない、商業化しない、上場しない」という方針を長年にわたり貫き、親会社であるクオンツ系ヘッジファンド「幻方量化(High-Flyer Quant)」からの資金に全面的に依存してきた。その独立系研究企業が、外部資本に門戸を開いたのは今回が初めてで、大きな注目を浴びた。
興味深いのは、その背後にある取引構造だ。複数のメディアの報道によると、創業者の梁文鋒氏は個人で本ラウンドの約4割を占める約200億元(約4800億円)を出資し、最大の単一出資者となった。これはIT大手のテンセント(騰訊控股)の約100億元(約2400億円)や車載電池大手の寧徳時代(CATL)系の約50億元(約1200億円)など、いずれの外部機関をも上回る額だ。
ほかに、ゲーム大手の網易(ネットイース)、EC大手の京東集団(JDドットコム)、Monolith(砺思資本)、IDG資本(IDG Capital)がそれぞれ約30億元(約720億円)、正心谷資本と拾象科技がそれぞれ約15億元(約360億円)、国家人工知能産業投資基金が約9億8000万元(約240億円)を出資した。
さらに目を引くのが、支配権の設計だ。ロイター通信の報道によると、梁氏は外部投資家に対し、DeepSeekに直接出資するのではなく、自身が管理する有限責任組合に資金を投入するよう求め、5年間のロックアップ(売却制限)期間も設けた。早期の出口戦略(短期での利益確定)を狙う資本を排除しようとしている。国家人工知能産業投資基金が唯一の例外として直接株式を保有し議決権を行使できるほか、その他の外部投資家は議決権を持たず、特定の財務情報の閲覧と次回調達での優先引受権だけが認められる。つまり、有力な外部株主を迎えても、会社の舵取りは依然として創業者が固く握っているということだ。
*1元=約24円で計算しています。
(36Kr Japan編集部)