溶接工不足300万人、AIロボットが救う 中国「群青智能」が約24億円調達

中国の産業用ロボットメーカー「群青智能(Qunqing Intelligence)」はこのほど、1億元(約24億円)近くの資金を調達したと発表した。賽智伯楽、杭州市の政府系ファンド・杭州高新金投、東方富海(Oriental Fortune Capital)が共同で出資した。調達した資金は主に製品の開発や商用化などに充てられる。

群青智能は2021年、清華大学出身の博士4人によって設立された。溶接作業員の人手不足、製造業が直面する「効率と柔軟性」の両立という課題に対し、同社は高度な技術を要するスマート溶接分野を切り口に事業を展開している。

溶接は製造業の中で自動化が遅れている領域の一つである。複雑な作業、頻繁な工程の変化、高精度への要求加え、高温・アーク光・煙塵といった過酷な作業環境から、長年にわたり熟練工に依存してきた。一方で、製造現場での技能人材は不足が続いており、全国の溶接工の不足数はすでに300万〜500万人に達している。こうした中、「柔軟な溶接能力」の確保は、製造企業が競争力を高めるうえで重要な要素になりつつある。

従来の自動化技術は人間が事前に設定したルールに依存しており、産業現場のきわめて不確実な物理環境に対応するのは難しい。群青智能の呉哲明CEOは「我々のAIはに幾何学的な図面を『読み取る』のではなく、リアルな物理世界を『理解する』ものだ」と述べた。

このため、同社は物理AIモデル「青金石」を自主開発した。PIML(Physics-Informed Machine Learning)のフレームワークに基づき、物理法則と工程メカニズムを直接モデルに組み込んでいる。溶接部の形状や継手の構造を読み取り  、推論・意思決定・実行などの能力を通じて、溶接シーンに向けた「世界モデル」を構築するとともに、現実とシミュレーションを行き来する「Real2Sim」と「Sim2Real」の双方向クローズドループを確立した 。

この技術は、産業用ロボットが「あらかじめ決められたルールに従う作業ツール」から、自主的な感知・意思決定・実行能力を備えた自律型の産業AIエージェントへと段階的に進化することを意味する。同時に、同社は実際の産業データを継続的に蓄積しており、これまでに300TBを超える溶接プロセスデータを確保した。これがモデルの汎用性を高める強固な基盤となっている。

商業化の面では、群青智能はすでに「現場導入・エッジ側学習・反復改善」という製品モデルを形成している。AIエージェントが顧客の現場で継続的に学習し、企業専用モデルとしてデータを蓄積。同時に、業種を横断したナレッジグラフと組み合わせることで、ベースとなる基盤モデルを絶えず最適化していく。

現在、同社は製品の実装を加速させている。大手商用車メーカーへの導入例では、初期に数十セットのシステムの配備が完了した後、顧客が予算を追加し、ほかの生産部門への横展開をしているという。導入データによれば、同システムは生産ラインの段取り替え効率を70%以上向上し、設備稼働率を35%以上改善した。投資回収周期は0.5〜1.5年に短縮できるという。

エネルギー設備の大手企業では、群青智能のAIエージェントを自社のライトハウス工場に配備している。その傘下の自動化ソリューション企業も群青智能と戦略提携を結び、複雑なシーンで検証を経た製品をさらに市場へ展開したい考えだ。

2025年末、群青智能は業界を跨いだ汎用化に向けた重要な一歩を成し遂げた。その事業は商用車メーカーの大手トップ5をカバーしただけでなく、道路建設機械や重機械などの分野へもソリューションを提供することに成功し、同社のコアアーキテクチャの横展開能力を実証した。現在、同社が対応できるプロセスの境界は、溶接工程から切断・研磨・塗装などの上流・下流の工程へと順次拡大している。

*1元=約24円で計算しています。

(36Kr Japan編集部)

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