バイドゥがスマートデバイスメーカーを買収 シャオミ・アリババとの競争が一層激化

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バイドゥ(百度)が、家庭用スマートデバイス製造の「小魚在家(AiNemo)」の全株式を取得することで基本合意したことが、このほどわかった。買収金額は数億ドル(約数百億円)となり、現在細部の交渉を残すのみだという。

小魚在家は宋晨楓氏が2014年に設立した企業であり、2017年1月にバイドゥとの戦略的提携を結んでいる。その後同社は、バイドゥの音声オペレーションシステム「DuerOS」を搭載した、ビデオ通話が可能なロボットや、モニター付きのスマートスピーカーなどを発売した。2018年4月に行われた小魚在家のシリーズC、シリーズC+の資金調達では、ともにバイドゥがリードインベスターであった。

小魚在家が2017年に発売したロボットの発表会の様子 著名な投資家や経営者である李開復氏、陸奇氏が登壇。

バイドゥの小魚在家買収は、昨年からすでに始まっていた。小魚在家の元従業員によると、バイドゥからは「今の給与のままバイドゥに移ること」と「高額な手当を受領し退職すること」の2つの選択肢が提示され、大半の従業員が後者を選んだという。

業務提携からはじまったバイドゥのSLG(スマートリビング事業群)と小魚在家の統合は、バイドゥによる全株式の取得で決着を見ることになり、体制を整えたバイドゥは、アリババのスマートスピーカー「天猫精霊(Tmall Genie)」、IoT家電・スマホ大手の「シャオミ(Xiaomi、小米)」傘下の「小愛同学(Mi AI Speaker)」とさらに激しい競争を繰り広げることになる。

市場調査会社「Strategy Analytics」が今年5月に公表したデータによると、2020年の第1四半期、バイドゥ傘下のスマートスピーカーの販売台数は国内トップの410万台で、アリババの360 万台とシャオミの320万台がそれに続く格好であった。

スマートスピーカーは新たな競争の第一歩に過ぎない。指を使うスマートフォンの普及で、SNS、Eコマース、ゲーム、生活関連サービスなどが劇的に変化したように、音声を使った操作が主流となれば、従来の市場が変化するにせよ、新たな市場が生まれるにせよ、巨大なポテンシャルがあることは間違いない。

そのため、赤字続きであっても、どの企業もスマートスピーカーを諦めたくないのである。バイドゥ、アリババ、シャオミのスマートスピーカーはともに原価または原価割れで販売している。これは消費者教育のためだけではなく、スマートスピーカーの普及による家庭内のニーズの掘り起こしを期待しているからでもある。

7月8日の社内会議で、同社の副総裁兼SLG総経理の景鯤氏が語った言葉がバイドゥの姿勢を示している。「スマート音声アシスタントはまもなく次の爆発的な成長を迎える。次の段階で大事なのは、より広範なユーザーを獲得できるかだ」これは、バイドゥがスマートスピーカーで消費者教育を続けると同時に、ほかの音声アシスタント付きデバイスを販売することを意味すると考えることができる。

バイドゥのSLG総経理景鯤氏 画像はバイドゥより

競合他社の動きを見ると、IoTデバイスが得意なシャオミは、音声アシスタント付きのマウスを発表。アリババは今年5月にスマートスピーカーのコンテンツについて100億元(約1500億円)を投資、さらに家電メーカーとともに1000万台売れるスマートデバイスを100種類開発するとしている。

景鯤氏は、音声アシスタントを搭載した製品が多ければ多いほど市場シェアを獲得できるという考え方に否定的だが、それでもバイドゥがIoTデバイスの不足を補おうと、外部との提携を進めていることは事実だ。2018年3月、バイドゥは大手家電メーカー「創維集団(Skyworth)」傘下のスマートテレビメーカー「酷開電視(coocaa)」に出資し、戦略的提携を発表し、その後もスマホメーカーのHTC、OPPO、vivo、家電大手のTCLなどとの提携を行ってきた。

今後の製品について、景鯤氏は主に2つの方向でユーザーの拡大を目指すとしている。まずは特定の顧客層向けの製品の性能を突き詰めることだ。2020 年、バイドゥの発表済みのスマートデバイスは4種類あり、うち3種類が子供向けの教育機能を売りにしていることから分かるように、子育てファミリーの需要を取り込むのがテーマの一つになるだろう。次に、使用シーンの拡大である。バイドゥのスマートデバイスはすべて自宅での使用を想定したものだったが、景鯤氏は「今年下半期にポータブル製品を発表する予定だ」と話す。

(翻訳:小六)

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