中国のサービスロボット「KEENON 」がソフトバンクから数十億円を調達 日本など海外進出を加速

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配送ロボット開発メーカー「KEENON ROBOTICS(擎朗智能科技)」が昨年12月、シリーズCで数億元(数十億円)を調達した。リードインベスターはソフトバンクの投資子会社「ソフトバンク・ベンチャーズ・アジア(SBVA)」、財務アドバイザーは「沖盈資本(Evering Capital)」が務めた。資金は中国飲食産業における配膳ロボットの普及、海外市場の開拓、医療分野など他事業への水平展開に充てられるとのこと。

KEENONは昨年3月にもシリーズBで「源碼資本(Source Code Capital)」などから2億元(約32億円)を調達している。

2010年に設立されたKEENONは、インテリジェントロボットのメーカーでメンテナンス等のサービスも提供する。同社のロボットは中国内外の飲食店、ホテル、医療現場に相次いで導入されてきた。

KEENONの工場は年間2万~3万台の生産能力を有する。ロボットの耐用年数は平均4.5年で、中国国内の500都市以上で毎日1万台以上が稼働しており、これまでに累計4200万回以上のタスクを完了している。

KEENONのインテリジェントロボット(写真提供:KEENON)

KEENONは2020年から海外市場の開拓に力を入れ始める。同社の配膳ロボットは韓国のカフェのほか、昨年6月には熊本市の図書館でも試験導入され、ドバイの病院17カ所からも受注があるという。

新型コロナウイルス感染爆発後、非接触サービスの需要は世界中で急増した。KEENONは科学技術を駆使した防疫に積極的に参加する。1000台近くのロボットを中国国内の感染多発地域に寄贈したほか、イタリアのミラノ空港、ドバイの病院、米国の工場、アラブの学校など、海外でも活躍している。

同社創業者兼CEOの李通氏は「配送ロボット市場は依然としてブルーオーシャンだ。市場浸透率は今も高くなく、普及速度は今後も加速が見込まれる」と語る。李CEOは量産や実装のコストを削減するため、設計開発能力の向上と、サプライチェーン管理の最適化がポイントになると考える。

配送ロボットには3つのビジネスモデルがある。ロボットの販売とレンタル、自社構築のサービスネットワーク、大手企業との共同運用だ。李CEOは「大手企業の研究開発能力は優れているとはいえ、配送ロボットには地域特性、ブランド構築、店舗展開と三重の障壁があり、大手企業と言えども新規参入者が市場を迅速に占有するのは難しい。KEENONは技術を磨いてきたし、大規模導入でも強みがある。今後、さまざまな事業者との協力を考えており、大手企業との戦略および資本上の緊密な協力もあり得る」と語る。

「中国ロボット産業発展報告書2019」によると、ロボット市場は世界全体で拡大を続けており、中国市場の潜在ニーズも大きいという。中国ではロボットの核心技術のイノベーションを第一目標に、サービスでもインテリジェンスレベルを上げ、世界最先端レベルに基本追いついており、成長の余地は十分にある。今後はロボットの機能性に加え費用対効果にも注意を払う必要がある。激しい市場競争で頭角を現せるのは、ユーザー目線の合理的な価格で大規模投入が可能な製品だけだ。

ソフトバンク・ベンチャーズ・アジアのパートナー丁海鵬氏は、次のように述べる。「新型コロナウイルス感染症の流行は、あらゆる分野に甚大な影響を与えたが、サービスロボットが徐々に普及したことで、多くの企業が抱える採用、配送、消毒などの問題が解決されてきた。KEENONはサービスロボット業界のリーディングカンパニーとして、超高性能ロボットと技術チームの対応速度の速さにより、多くの顧客に迅速なインテリジェント化を実現させた。私たちは、彼らがさらに多くの業界や世界で市場開拓を行い、優れたロボット製品を通して顧客のビジネス効率を向上させることを期待している」

(翻訳:永野倫子)

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