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船舶の電気駆動システムを手がける「逸動科技(ePropulsion Technology)」がシリーズBで1億元(約16億7000万円)規模の資金調達を行った。出資を主導したのは「深圳市華僑城華鑫股権投資管理(Shenzhen OCT Huaxin Equity Investment Management )」で、「深圳市高新投集団(Shenzhen HTI)」「東莞金融控股集団(Dongguan Financial Holdings)」なども参加した。
逸動科技の4人の創業者は香港科技大学(HKUST)の出身で、2012年に電動船外機の研究に着手した。2014年に中国・広東省東莞市の松山湖ハイテク産業開発区(Songshan Lake Science and Technology Industrial Park)で法人登記している。現在、160人余りの従業員を抱え、うち60人が研究・開発人員だ。
主力製品は電動船外機で、その他に水中ロボット、水上および水中向け電力推進装置の研究・開発、製造、販売を手がけている。
創業者でCEOの陶師正氏によると、逸動科技は小型船舶向けの電動化関連製品で世界2位の出荷台数を誇る。昨年は6000台以上を出荷し、世界40カ国以上にパートナーおよび代理店を持つ。コロナ禍に見舞われた昨年でも売上高は60%も成長、今年は100%成長を見込む。
環境保護の観点からも船舶の電動化は業界の趨勢となっている。電動船舶はガソリンや軽油による水質汚染を減らし、騒音やにおい、油垢とも無縁で、操縦やメンテナンスも簡単など利点が多い。また電気自動車とは異なり、電動船外機は後付けも可能だ。
逸動科技の顧客は現在、海外の個人が主で、売上高の90%以上を占める。中国国内では政策や需要の後押しもあり、ダム、景勝地、河道や公船関連など企業や政府向けの事業を加速させている。2022年までには法人向け事業による売上高が全体の40%を占めるようになる見込みだ。また、逸動科技は中国船級協会と中国漁業船舶検験局双方からの認証を受けた中国初の企業だ。
2014年には直接駆動の無整流子電動機を採用した世界初の電動船外機「Spirit 1.0」を発表、2016年には出荷を開始した。現在でも出荷数最多の製品シリーズだ。2020年にはリン酸鉄リチウム電池「E」シリーズを発表し、電動船外機「Navy」シリーズと併せて一つのシステムとした。今年に入ってからはNavyの最新版として「Navy Evo」シリーズを発表、業界初の水力発電による自動充電推進ソリューションとして4月から出荷開始の予定だという。
船舶は自動車と異なり、使用シーンや航行ルートが固定の場合が多いため、航続力への需要も異なる。逸動科技は景勝地でのパトロールや、レジャーとしての釣りなどのシーンに合わせたバッテリーセットを発売し、顧客の需要の現状により寄り添っていく。
また、自主開発した動力システムによってエネルギー変換の効率を高め、航続力を伸ばしている。同社のデータによると、ガソリン機関の変換効率は約20%、一部電動機関は約30%、同社製の電動機関は50%だった。さらに、顧客からの要望に応じてEvoシリーズに逆充電機能を搭載させた。
陶CEOは、小型船舶(出力300kW以下)の動力市場は年100億ドル(約1兆800億円)以上の規模とみている。船舶の動力を軽油やガソリンから完全に電力へ移行するには、製品そのものの性能を向上させ、動力性能も上げなくてはならない。逸動科技は今回の資金調達を機にさらに高出力の電力推進装置を開発し、現行の製品ラインナップを格上げさせるとともに生産を拡大し、急拡大する市場需要に応じていくという。同時に国内外のコア市場をさらに深耕し、マーケティングへの投入を拡大してブランド力を磨き、新興市場でのシェアを一気に伸ばす計画だ。また優れた人材を集め、組織としてもより一層の強化を図る。
(翻訳・愛玉)
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