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オンライン医療サービス大手「微医(WeDoctor)」が4月1日、香港証券取引所へ目論見書を提出した。同社はこれまでに累計で少なくとも17億7000万ドル(約1900億円)の資金を調達しており、主な出資者は「セコイア・キャピタル・チャイナ(紅杉資本中国基金)」「テンセント(騰訊)」「五源資本(5Y Capital)」となっている。
目論見書によると微医は自らを中国最大のデジタル医療サービスプラットフォームと位置付けており、診察予約、診療、問い合わせ、医療費の精算、調剤を含むオン/オフラインを一体化した医療相談および診断サービスの提供を行うとしている。
今回、微医が上場に成功すれば、香港証券取引所で4番目のオンライン医療関連株となる。すでに上場しているオンライン医療の三大企業は、中国EC大手「京東集団(JD.com)」傘下の「京東健康(JD Health)」、アリババ傘下の「阿里健康(アリヘルス)」、保険大手「中国平安保険集団(Ping An Insurance)」傘下の「平安好医生(Ping An Good Doctor)」で、4月1日現在、3社の時価総額はそれぞれ3643億香港ドル(約5兆1300億円)、3122億香港ドル(約4兆4000億円)、1185億香港ドル(約1兆6700億円)となっている。
アリババ、京東集団、平安集団をそれぞれ後ろ盾としている京東健康、阿里健康、平安好医生に比べて、微医はこの分野の純粋なスタートアップであり、自力で上場までこぎつけた。微医が加わって4強となったオンライン医療業界は、今後どように進むのか。
オンライン医療四大企業の違い
オンライン医療業界の4強にはそれぞれ強みがあり、将来的な方向性も異なっている。
阿里健康は医薬品ECビジネスから出発して、オンライン医療とデジタル医療の領域を開拓し、オン/オフラインを一体化した「分級診療体系」(疾病のレベルに応じて級を分けて診療する仕組み)と医療業界のデジタルインフラを構築することを目指している。2020年の半期決算報告によるとアリババ傘下のECサイト「天猫(Tmall)」の医薬品プラットフォームは2億5000万人のアクティブユーザーを有し、上半期のGMV(流通取引総額)は554億元(約9300億円)に達した。
京東健康は2019年5月に京東グループから分割されて以来、わずか1年半で香港証券取引所へ上場し、ピーク時には時価総額がバイドゥ(百度)を超える6000億香港ドル(約8兆4600億円)以上となった。京東健康は阿里健康と同様に医薬品ECを主なビジネスとしている。
京東健康は専属医師と外部の提携医師による11万人を超える医療チームを設立し、ユーザーにオンライン診察、ヘルスケアサービスなどを提供している。今後は強力なオンラインの医療サービスに加えて既存のサプライチェーンの優位性が、核心的な競争力となるだろう。
阿里健康と京東健康は医薬品ECという後ろ盾があるため、莫大な売上高とGMVを計上している。平安好医生と微医がこれに対抗することは難しいが、しかし両者にもそれぞれ優位性がある。
平安好医生は平安集団を後ろ盾にして、大量の保険リソースと顧客企業リソースを持っており、平安集団のエコシステム内の企業やユーザーに安定してサービスを提供できるなら、オンライン医療ビジネスの大きな発展が見込めるだろう。またビジネス構造からみても平安好医生の「健康保険+ヘルスケア」というモデルは非常に可能性がある。
2021年に平安好医生は専門の保険事業部を設立し、平安集団の保険業務との提携深め、共同で開発したオーダーメイドの医療ヘルスケアと保険サービスの組み合わせ商品によって医療と保険の相乗効果を高めてきた。
微医はオンライン医療に特化したスタートアップとしてその道一筋に進んできた。長年にわたって築いてきた病院や医師との関係や蓄積された医療関連リソースが、微医のサービス能力の源だ。
四大企業以外にもここ数年オンライン医療業界は盛り上がっている。アリババ、京東と同じテック企業では、「美団 (Meituan)」、テンセント、ファーウェイもそれぞれ医療業務部門を持っている。微医と同様にオンライン医療に特化したスタートアップとしては「医聯(Medlinker)」、「丁香園(DXY)」、「好大夫(Haodaifu)」などがある。
今回の微医の上場は、オンライン医療企業の上場ラッシュの幕開けとなるかもしれない。
(翻訳・普洱)
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