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企業研修のためのラーニングプラットフォームを提供する「UMU(ユームテクノロジー)」がシリーズC2で「五源資本(5Y Capital)」から1億元(約17億円)規模の資金を調達した。同社はわずか1年足らずの間に、「高成資本(Gaocheng Capital)」「高瓴創投(GL Ventures)」、テンセントなど名だたる投資家たちから出資を受けてきた。今回の資金調達は、1億2000万元(約20億4000万円)を調達した前回のシリーズCからわずか1カ月しかたっていない。
プロダクト:AIを活用したコーチング
UMU創業者の李東朔CEOは、企業研修が基礎、指導、学習という3つのパートから成っているとした上で、各パートに特化したサービスは世界に数多くあるものの、提携パートナーが実際には競合するライバルとなっていると指摘する。
同社は学習の効果性を第一に掲げ、基礎・指導・学習という全パートをカバーした企業研修のソリューションを提供している。
これまでの企業研修は訓練や講義などの形式が主流だったが、大量の反復学習を行うだけの研修方法やカリキュラムは従業員にとって少しもプラスにはならない。UMUは科学やAIをベースに新しいタイプの学習シナリオを構築し、レクチャー・学習・演習・活用の全てのプロセスを連携させて、学習者が「知識」から「実践」に至れるようサポートしている。またAIを活用することで実際の業務シーンと演習を組み合わせ、リアルタイムのフィードバックも出せるようになっている。このAIコーチングはセールスやフィードバック、カスタマーサービスなど、生産性の向上や業績改善が求められるシーンに幅広く対応している。
製薬会社ノバルティスはUMUを導入したことで新入社員の研修期間を90日から45日に短縮することができたほか、UMUやAIコーチングを使ってトレーニングしたMR(医薬情報担当者)の業績が45%も伸びたという。
先ごろ、UMUは従来方式のセールストレーニングをAI技術により自動化、スマート化して、セールススキルの向上を支援するスマートツール「uShow」をリリースした。
ビジネスモデル:SaaS型で高いリピート率
2018~2020年の3年間、UMUはサービスをブラッシュアップし、市場の反応を検証してきた。SaaSモデルでサービスを提供し、カスタマイズや大口顧客に合わせた修正は一切行わないというスタンスを貫いてきたが、現在ではUMUのサービスや手法が市場に受け入れられ、短期間のうちに巨額の資金が集まるようになった。現在、中国本土の客単価は数万~数十万元(数十万~数百万円)で、売上高は1000万ドル(約11億円)規模に達するという。2020年には企業顧客のリピート率が150%に達し、今年第1四半期の契約金額は前年同期から2倍に増加した。
現在、UMUのサービスは世界200以上の国や地域で7000万以上の顧客が導入しており、米国や日本などグローバル市場の売上高が全体の60%を占めている。医薬品、教育、小売業、製造業、金融業などの大手企業や成長企業がUMUを導入して社内の学習体系を構築し、研修を行うツールまたプラットフォームとして活用している。
市場:大企業のニーズが中心の有望市場
SaaS型の企業研修サービスは今後、飛躍的な発展を遂げると見られている。UMUがベンチマークにしている米国企業は時価総額30億ドル(約3300億円)の「コーナーストーン(Cornerstone)」や時価総額50億ドル(約5500億円)の「コーセラ(Coursera)」などで、いずれも近年急速に業績を伸ばしている。
企業の効率化のプロセスには、収益源を開拓して増収を図ることと、費用対効果を上げることの2つの側面がある。企業学習は後者に該当するが、一方的で効果の低い従来型の研修方式では費用対効果を上げるという目的を達成することはできない。また小規模企業には社内研修のニーズがそれほどないため、企業研修は中規模・大規模企業のみの市場となる。
市場や投資家がUMUに期待を寄せているのは同社が人材重視の姿勢で、「良い人材が優れたプロダクトを生み出し、それが利益につながる」とのポリシーを守っているからだ。現在UMUは中国や米国、日本に優秀なグローバルチームを抱えており、コストの実に8割が従業員の給与だという。今回調達した資金は引き続き優秀な人材を獲得するために用いられるという。
(翻訳・畠中裕子)
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