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中国通信機器大手のファーウェイ(華為技術)の「天才少年プロジェクト」で社員に採用された男性が、無人走行する自動運転「自転車」を開発した。その技術や走行を紹介する動画が「ビリビリ動画」に投稿され、公開から1週間で230万回再生されている。
動画では、無人の自転車がカーブを曲がったり、障害物を避けながら自在に走行する様子が映っている。ハンドルの片方に紙袋をかけてバランスが悪くなった状態でも、問題なく走行できる。
開発した「稚暉君」は、自転車に乗っていて転倒、けがをしたことをきっかけに、「倒れない」自動運転自転車の開発に着手。週末を利用して4カ月かけて完成したという。
手順はこうだ。
1)CADソフトを使ってバーチャル自転車を設計
2)車体の改造:自転車は人間が力を加えて動かすが、自動運転には「自立する」「動き出す」機能が必須だ。稚暉君はサドルの下に無整流子電動機を装着し、自転車が重力で倒れないようにするとともに、サドル後方にも無整流子電動機をつけ、摩擦力で後輪を動かし走行を始められるようにした。稚暉君によると、当初は3Dプリンターでこの部品を作ろうとしたが、強度の問題から金属で制作した
3)ソフトウエアとアルゴリズム:障害物を避けたり道路を認識するために、センサーで構成するコグニティブ無線とAIチップを搭載した。運転を制御するために、Wi-FiとBluetoothを内蔵する低コスト、低消費電力のSoCマイクロコントローラ「ESP32」を搭載。そしてファーウェイのとAI処理用プロセッサー「Ascend310(昇騰310)」を採用した。
また、深度計測カメラのほか、自動運転EVのキーテクノロジーとして注目されているセンサー「LiDAR(ライダー)」も実装している。
開発の全工程と動画は以下のサイトから見ることができる:https://www.bilibili.com/video/BV1fV411x72a
CEO肝いりの「天才少年プロジェクト」で採用
斬新なIoT製品を発明する著名インフルエンサー稚暉君は本名を「彭志輝」と言い、その正体は2018年に電子科技大学を卒業し、ファーウェイの「天才少年プロジェクト」選抜を経て2020年秋に同社に入社した新入社員だ。
同プロジェクトは、米国の規制で窮地に陥ったファーウェイが2019年に打ち出したもので、当時、任正非CEOは「天才少年」を「組織に刺激を与えるためのドジョウ」と説明。「今後3-5年で“武器”を総入れ替えして、この戦争に必ず勝つ」とぶち上げた。
同年8月に博士学位を持つ最初の8人が採用された際には、実名と学歴、1年目の年収を記載した内部文書が出回り、それによると8人の最低年収は89.6万元(約1500万円)、最高年収は201万元(約3400万円)だった。ちなみに、自動運転自転車を開発した稚暉君こと彭志輝氏の年収は公表されていないが、ネット上では「300万元(約5100万円)」との情報が飛び交っている。
中国では清華大学の研究チームも2019年に自動運転自転車を開発し、著名科学誌Natureで紹介された。稚暉君は同チームの研究にも刺激を受け、個人でできる範囲で自動運転自転車を開発したとも説明している。
(文・浦上早苗)
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