中華専門宅配「HungryPanda」が150億円調達、日本など10カ国で事業展開

36Kr Japan | 最大級の中国テック・スタートアップ専門メディア

日本最大級の中国テック・スタートアップ専門メディア。日本経済新聞社とパートナーシップ提携。デジタル化で先行する中国の「今」から日本の未来を読み取ろう。

スタートアップ注目記事

中華専門宅配「HungryPanda」が150億円調達、日本など10カ国で事業展開

36Kr Japanで提供している記事以外に、スタートアップ企業や中国ビジネスのトレンドに関するニュース、レポート記事、企業データベースなど、有料コンテンツサービス「CONNECTO(コネクト)」を会員限定にお届けします。無料会員向けに公開している内容もあるので、ぜひご登録ください。

原文はこちら

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録

続きを読む

中華料理専門のデリバリーサービスを手掛ける「HungryPanda(熊猫外売)」が2021年12月に、シリーズDで1億3000万ドル(約150億円)を調達した。英Perwynの主導でKreos Capital、Kinnevik、Felix Capital、83North、Piton Capital、Vintage Investment Partners、Burda Principal Investmentsといった欧米の投資家が出資に参加している。

これによってHungryPandaは累計2億2000万ドル(約250億円)を調達。今回の調達資金は北米市場の開拓、事業エリアの拡大、生鮮食品即時配達サービスの拡充に充てられる。

2017年に英国で設立された同社は中国国外で華人、留学生、海外旅行者向けの中華料理デリバリーサービスプラットフォームを運営する。創業者の劉科路CEOは英ノッティンガム大学でコンピュータサイエンスを学んだ。創業4年で従業員が500人を超え、デロイトの「2021年に英国で最も成長したテック企業トップ50」にランクインした。

HungryPandaの登録ユーザーは350万人以上、1日の利用者数は10万人以上、フードデリバリーの客単価は40ドル(約4600円)に上る。華人が比較的多い国と都市を中心に、事業エリアは米国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、英国、フランス、イタリア、日本、韓国、シンガポールという計10カ国の60都市以上に広がる。

海外のフードデリバリー業界は中国ほど発展していないが、欧州で「Just Eat」「Deliveroo」、米国で「DoorDash(ドアダッシュ)」「UberEATS(ウーバーイーツ)」などのプラットフォームが生まれている。この2年間はコロナ禍の影響で海外のフードデリバリーも活況を呈した。

劉CEOによると、HungryPandaはこの1年ほどの間に日本、韓国、シンガポールの主要都市でフードデリバリー、生鮮食品などの事業を展開してアジア市場を開拓し、2021年だけで注文件数は50%以上増えた。

また、海外のフードデリバリープラットフォームは中国人にとって文化的な障壁が高く、事業者にとっても利用者にとってもさまざまな問題があるという。「当社は海外のプラットフォームよりもユーザーのことを理解している。どのレストランが中国人の好みに最も合うか、どこの中華料理が本格的なのかも分かるため、ユーザーが外れを引くことはない」。

劉CEOによると、HungryPandaの手数料は各事業エリア内のプラットフォームより5~10ポイント低く、プラットフォームへの出店数は世界で6万店、各エリアにある中華料理店の90%が出店しているという。また、配達管理を強化したり配達員募集制度を充実させたりすることでユーザー体験の向上を図っており、4万人超の配達員を抱えている。

「中国に比べて海外は需要が少なく、人件費も高くなるため、企業には高度な運営モデルや戦略が求められる。これは創業間もない企業が成長にあたって直面する大きな課題で、継続的に配達システムを改良し、物流コストを下げる必要がある」と劉CEOは説明した。

同社のフードデリバリー事業はすでに英国、オーストラリア、ニュージーランド、米国の主要都市で黒字化している。

また2021年に、アジア系消費者向けの生鮮食品EC「PandaFrlesh(熊猫優鮮)」や共同購入プラットフォーム「VouchersPanda(熊猫団購)」を開始し、中国国外で「宅配」と「来店」による新しい小売システムを確立した。Pandarleshは自社倉庫と提携販売店を通じて生鮮食品に対する華人のニーズに応え、客単価が70ドル(約8100円)と高く、全体に占める売上高の割合も上がっている。

PandaFreshは、事業エリア内にある90%以上の中国系スーパーと提携し、3000種類以上の生鮮食品を提供している。配達は2~4時間以内に完了し、ユーザーは配達時間帯を選べる。「配達は当社が管理している配達員が行うため、スーパー側が配達するよりも効率が良い。今後も配達を効率化し、すべての都市で2時間以内の即時配達を目指す」という。

HungryPandaは2021年10月、ニュージーランド最大の華人向け生活サービス取引プラットフォーム「掌中新西蘭(Buy@Home NZ)」を買収。PandaFreshは英バーミンガムに実店舗を開業した。

劉CEOによると、向こう3年以内に新規事業の全体に占める売上高の割合を50%に高める方針だ。今後は華人が必要とするすべての生活サービスに対応可能なワンストップのサービスプラットフォームの構築を目指すという。

HungryPandaの取締役には、Just Eatの元CEOや、Just Eatと欧州の新興フードデリバリー「Wolt」の出資者、Deliverooの出資者が名を連ねる。
(翻訳・神戸三四郎)

Uberでも出前館でもない。池袋に出没する謎の配達員の正体は【中華ビジネス戦記】

36Kr Japanで提供している記事以外に、スタートアップ企業や中国ビジネスのトレンドに関するニュース、レポート記事、企業データベースなど、有料コンテンツサービス「CONNECTO(コネクト)」を会員限定にお届けします。無料会員向けに公開している内容もあるので、ぜひご登録ください。

原文はこちら

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録

関連記事はこちら

関連キーワード

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録