ファストファッションEC「SHEIN」、The Or Foundationと提携 EPRファンドを設立し、世界で深刻化する衣料品廃棄問題に対応

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2022年6月7日−−米国とガーナに本部を置き、環境正義や教育、ファッションの発展に取り組む非営利団体「The Or Foundation」と、中国発ファストファッションEC企業「SHEIN」は、拡大生産者責任(EPR)に関わる基金を立ち上げる先駆的な複数年契約を発表した。同基金はファションを中心としたエコシステムや社会における持続可能性戦略の制定や実施の促進を支援するもので、世界の中古衣料品取引市場で生じる衣類廃棄への対応を重点的に手がけていく。

The Or Foundationはこれまで中古衣料品取引について幅広い調査・活動を続けてきた。同分野では今回が初の協働となり、SHEINと共に業界の先陣を切る。SHEINは今後5年以内にEPR基金に5000万ドル(約67億円)を投じ、繊維廃棄物の深刻な影響を受けるコミュニティに対し廃棄物管理の実施を支援していく。これらの資金は世界の繊維廃棄物を管理し、循環経済の発展を促進し、EPRに関するその他の義務を果たすことにも充てるという。

The Or Foundationの共同創設者でエグゼクティブディレクターを務めるLiz Ricketts氏は「我々はこれまで、廃棄物を管理するコミュニティーに対して責任を負うようブランドに呼びかけてきました。これは責任を果たすための重要な一歩です。我々が真に革命的な意義を持つと考えるのは、SHEINが、自社の商品が最終的に世界最大の中古衣料品取引市場である(ガーナの)カンタマント市場に流れ着く可能性があることを認めたことです。これは、これまで他の主要ファッションブランドが公表を避けてきた一つのシンプルな事実なのです」と述べている。

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SHEINでESGのグローバル責任者を務めるAdam Whinston氏は「SHEINはすでに影響力を発揮できる戦略的なアジェンダを作り上げました。The Or Foundationと提携できることをうれしく思っております。The Or Foundationは我々の先駆的なEPRファンドの最初の助成金受給者であり、我々が次の計画に移るための基礎固めを担いました。中古衣料品の廃棄問題を解決することは、ファッション業界のエコシステムにおいて重要な構成要素でありながら、往々にして軽視されてきました。我々がこの分野で現状を変える機会をいただき、The Or Foundationと共に初めてこの問題に取り組めることを楽しみにしております」と述べた。

The Or Foundationは今後3年にわたって年500万ドル(約6億7000万円)をファンドから受け取り、同組織が運営する「The Mabilgu Programs(貧困に苦しむ若年女性向けの就業支援プログラム)」の拡大に取り組む。若い女性を対象とした中古衣料品処理業務の無償研修を実施し、繊維廃棄物を新しい製品に生まれ変わらせるコミュニティビジネスを創出する。また、ガーナのテキスタイル(布製品や織物など)生産業者と共に繊維の循環・再生に試験的に取り組み、コミュニティのビジョンに基づいてカンタマント市場を改革することで、世界最大の中古衣料品取引市場が安全かつ尊厳ある就業場所になることを確実にしていく。なお、最初に受け取る助成金の一部はガーナの提携組織に再分配する。SHEINはThe Or Foundationと提携して今年と以降の数年間、衣料廃棄物の影響を受ける他の国々も経済支援の対象としていく。

The Or Foundationの取締役を務めるDaniel Mawuli Quist氏は「これはThe Or Foundationに対する強力な貢献であり、世界各地のブランドがこのようであることを望んでいます。カンタマント市場やその他の同様のコミュニティが循環利用の広まりにもたらす価値を見過ごしてはならないのです。他のブランドもこれに続き、真の変化を起こす人やコミュニティを重要視するようになることを我々は願っています」と述べた。

The Or Foundationはこれまで個人や零細企業によって発展を支えられてきた。彼らの多くはファッション業界とは直接関係のない個人や企業だ。今回はSHEINの協力を得ることで、世界のファッションエコシステムが持続的成長を果たすためのより堅実な基盤が築かれた。

The Or Foundationについて

米国とガーナに本部を置く非営利団体で、2011年より環境正義、教育、ファッションの発展などの分野で米国・ガーナ両国の提携に尽力してきた。中古衣料品取引に関する幅広い調査や活動を通じ、ファッションの持続的発展に対する関心を世界に向けて喚起してきた。The Or Foundationついての詳細は:www.theor.org

(36Kr Japan編集部)

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