シリコンバレーで多文化の社食を宅配、クラウドキッチン展開の「Saltalk」が資金調達

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米シリコンバレーで企業向けに多文化の食事を提供する「Saltalk(塩語)」がこのほど、シリーズAで800万ドル(約11億円)を調達した。Foothill Venturesが出資を主導し、GrubMarketやCeltic House Asia Partners(凱爾特亜洲創投)などが出資に加わった。

2017年に設立され、シリコンバレーに本社を置くSaltalkは、クラウドキッチン(デリバリー用の料理に特化した厨房施設)とEコマースを一体化したプラットフォームを運営しており、主に企業向けに食事を提供する。創業者の明方全CEOは中国湖北省出身、米ナビゲーション開発会社Telenavの上海オフィスでソフトウエアアーキテクトとして勤務した後、2013年に渡米した。

世界的にフードデリバリーの需要が急増していることから、クラウドキッチンが有望なビジネスモデルとして浮上してきた。市場調査会社ザ・ビジネスリサーチカンパニーの統計によると、世界のクラウドキッチン市場は2021年に5223億ドル(約70兆7000億円)となり、年平均成長率は約11.3%に達している。

またモーニングスターのデータによると、クラウドキッチンモデルは一般的なレストランの10~50%の面積と15~50%の労働力で、レストランの取引額の75~100%を達成できるという。北米で名の知れたクラウドキッチンにはCloudKitchens、Franklin Junction、Kitchen United、Nextbiteなどがある。

Saltalkは主にクラウドキッチンとSaaS型管理プラットフォームを構築することで、シェフや食材調達を集約し、企業ユーザー向けに柔軟なメニューと宅配サービスを提供している。

企業はSaltalkを導入することで現地社員の多様な食習慣のニーズを満たすことができる。シリコンバレーではほとんどの企業が社員に食事を提供しているが、社員の文化的背景や食習慣がさまざまであるため、複数ルートから食事を調達することになり非効率やコスト高を招いている。

Saltalkではアジア、南米、ヨーロッパなどを含む200種類以上の料理を提供でき、メニューの60%は随時更新される。また顧客企業向けにオールインワンの注文プラットフォームを開発し、注文業務の簡略化を図っている。

企業向け注文プラットフォーム(画像は企業提供)

現時点で、Saltalkはサウスベイに8000平方フィートのクラウドキッチンを有している。定期利用する企業は100社近くに上り、その中には美的(Midea)、京東(JDドットコム)、アリババ、小鵬(Xpeng)などの著名企業のほか、従業員数が100人規模およびそれ以上の大企業が含まれている。

同社は今後2年間に、イーストベイと半島部に1万5000平方フィートのクラウドキッチン2つを建設する計画を立てている。2024年末までには、シリコンバレーおよび西海岸に合計15カ所のクラウドキッチンを建設し、より幅広い消費者にサービスを提供するという。

明方全CEOは「今後も多彩で健康的な料理を企業や個人消費者に提供していくつもりだ。同時に独自開発の管理システムや一括仕入れ、安定した法人顧客などによって、外食事業者の運営効率向上とコスト削減を図り、ウィンウィンの環境を作り上げたい」と語っている。

今回、出資に参加したCeltic House Asia Partnersのマネージングパートナー陳潔氏は次のように述べている。「シリコンバレーには100カ所以上のクラウドキッチンを開発できる企業もあるが、その運営モデルは不動産投資を行う物件オーナーとほぼ変わらない。Saltalkは特に創業者の技術的背景やサービスへの理解の点で優れており、企業が食事の問題を解決できるよう実際的なサポートを提供している。市場全体を見ても、クラウドキッチンは毎年30%近い成長をみせるだろう」
(翻訳・畠中裕子)

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