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非同期動画録画サポートソフトウェアの「蘆筍(lusun)」(公式ウェブサイト:lusun.com)は、GlobalFoundersCapitalからエンジェルラウンドで数百万ドル(数億円)の資金調達を行ったと発表した。同社は以前、GGV啓航加速計画からシードラウンドの出資を受けていた。今回の調達資金は製品のバージョンアップ、人材育成等に利用する。
lusunの創設者である郭暁力CEOは連続起業家だ。2013年から16年にかけてマインドマップツール「ProcessOn」の立ち上げに参画し、16年から18年には共同創業者として業務効率化ツール「幕布(Mubu)」をリリース。幕布が18年にバイトダンス(字節跳動)に買収されたことを受け、21年7月に離職するまでバイトダンスのエンジニアリングチームにも参加した。
離職時に郭CEOは新しい事業の方向性を検討し、「非同期動画」に的を絞った。郭CEOによると、短編動画人気で動画業界がすでに成熟しつつある上、世界的な新型コロナの感染拡大でリモートワークが新しい就業方式として定着したため、動画業界は消費者向けエンターテインメントから企業オフィス向けへの過渡期にあるという。
Zoom(ズーム)や「騰訊会議(Tencent Meeting)」に代表されるオンラインビデオ会議がリアルタイムコミュニケーションを特徴とする一方、非同期動画録画コラボレーションが企業向けの新分野として台頭している。現在米国には評価額15億ドル(約2080億円)のユニコーン企業Loomが存在する。同社は設立から現在まで累計2億300万ドル(約280億円)を調達し、公式ウェブサイトによると現在のユーザー数は1400万人、サービス提供企業数は20万社にのぼる。
非同期動画は、主に非リアルタイムコミュニケーションへのニーズに焦点を当てる。撮影者は動画を録画し、デスクトップで操作し、録画後に複数回シェアできるため会議時間を節約でき効率的だ。非同期動画は主に製品紹介、作業レポート、販売強化、企業の研修、オンライン授業やゲームの録画といった場面で使用される。
幕布と同様にlusunの特徴はそのミニマリズムにある。幕布がクリックするだけで稼働するように、lusunもアプリを開くとすぐに撮影を開始できる。現在、「人物」「人物+スクリーン」「スクリーン」という3つの録画形式がある。
lusunの動画は撮影しながらアップロードすることができ、撮影されたファイルはローカルメモリを占有せずに直接クラウドに保存される。動画ファイルはワンクリックで他のユーザーと共有でき、相手は静止画ごとにコメントできる。lusunは現在、Windows、Mac、Android、iOS、iPadOSに対応している。
Loomは企業内のワークフローコラボレーションから始まり徐々に組織外をカバーした点でlusunと異なる。中国では「企微(Qiwei)」「釘釘(DingTalk)」「飛書(Feishu)」が社内向けサービスを提供することもあり、lusunはまず外部向けサービスに着手し、その後消費者向けから企業向けに移行するアプローチを採用した。
lusunバージョン1.0は2022年1月に発売され、初期段階のイノベーションを経て登録ユーザー数はすでに20万人に増加している。支払いモデルは月間25元(約510円)または年間168元(約3400円)のプランがある。目下、同社の主要顧客は教育とインターネット業界が中心であり、教育業界では主に教師の講義、インターネット業界では研修やコミュニケーションといったシーンで利用されている。
同社は今年、ユーザーの紹介によりユーザー数を100万人まで増加させるほか、Webバージョンや過去の動画をチェックする機能を追加し、来年には企業向けのバージョン2.0を投入する計画だ。プロダクト主導型の成長モデルは利点が多く、消費者向けから企業向けへの移行はlusunのようなツールにとって最適な発展経路だ。
郭CEOは以前の起業経験から、多くの顧客からの異なる要求に対して製品チームは「自制」する必要があり、そうすることによって初めてコンパクトで優良な商品を実現できると述べた。
海外のユニコーン企業であるLoomの急拡大もあり、中国でも非同期動画を手掛ける企業が数社出現している。郭CEOによると、中国は現在の非同期動画は1.0ステージにあるためアーリーステージのスタートアップはさまざまな切り口、それぞれの製品やモデルで参入している。これらの企業が徐々にユーザーを獲得した後に企業向けのレイターステージのスタートアップが続き、業界は2.0ステージに突入する。3.0ステージでは飛書、釘釘、テンセントなどの大企業の参入が見込まれる。
郭CEOは将来的な主要メーカーとの競争について、これらの企業はよりディフェンシブであり、製品に競争力があればlusunのような企業にもチャンスはあるとして自信を見せる。
郭CEOは、ワークフローが動画ベースになる傾向は明らかであり、lusunは画面上でデジタル世界をキャプチャする知識労働者の「カメラ」だと語る。コミュニケーション効率やコンテンツの再利用性を向上させ、構造的なコンテンツの分析と最適化も行える。長く非効率的なリアルタイムの会議は、今後より融通が利き便利な非同期コミュニケーションに部分的に代替されるとして、より集中・没入型の作業体験を提供していく方針だ。(翻訳・大沢みゆき)
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