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中国の心理カウンセリングサービスのプラットフォーム「Glowe閣楼」が、シリーズA+で数千万元(数億〜十数億円)を調達した。出資を主導したのは峰瑞資本(Frees Fund)。
Gloweは2021年に設立され、都市部在住の若者をターゲットにオンラインカウンセリングを提供する。主に軽度〜中度のうつ・不安状態の人向けに、認知行動療法(CBT)と対人関係療法(IPT)の理論を基礎としたカウンセリングの枠組みやカウンセリングツールを定め、標準化されたサービスを提供する。
同社創業者の劉秋陽氏によると、現在のカウンセリングサービス市場は提供者側にも利用者側にもペインポイントが存在する。サービス提供側には専門人材不足やサービス効率の低さ、利用者側には医療機関利用時の待ち時間や、サービスを受ける時間と空間について決定権がないなどの悩みがある。
「これは中国のユーザーがカウンセリングに対して特殊な要求を持つことと関係している」と劉氏は述べる。多くの人は外界からネガティブな刺激を受けた際に即効性のあるケアを求め、カウンセリングサービスに求めるのも「一般外来」ではなく「緊急外来」になる傾向があることに、同氏は創業の過程で気づいたという。そのため、標準化されたメンタルケアのサービスがオンラインで受けられれば、都市部の若者によりマッチすると考えた。
大方のカウンセリング系プロダクトと異なり、Gloweはサービス提供者と利用者をマッチングするプラットフォームではなく、登録するカウンセラーが標準化された方法にのっとってカウンセリングを行うものだ。
認知行動療法の主な強みは治療効果を定量化して評価できる点であり、比較的短期間で治療効果が得られるという。また、対人関係療法は受診者の多元的な属性に基づいたエビデンスで分類するため、治療計画の標準化に役立てられる。
Gloweはプラットフォームに登録する数百人のカウンセラーに標準化された治療理論や治療プロセスを習得してもらうことで、カウンセラーの専門性やサービスの質を確保し、サービスの効率も高めている。また、診療予約は非同期応答方式で受け付けており、カウンセラーが受診者に応答する間隔や頻度も規定しているため、カウンセラーはピークをずらしながら複数の受診者にタイムリーな対応ができるようになっており、受診者のスティッキネスも高めている。過去1年でGloweの有料ユーザーは1万人を超えた。
2022年はChatGPTなど生成系AIの持つポテンシャルが世界的に認知された1年だったが、Gloweでも昨年からカウセリング分野にAIを取り入れるべく模索を続けてきた。劉氏によると、カウンセリングの核心は人と人のつながりであり、現段階ではAIが人に替わってカウンセリングをすることはありえない。ただ、補助的ツールとしてカウンセリングの質や効率を高めることはできるという。Gloweは米OpenAIが発表した高性能言語モデル「GPT-3」をベースとした診療メモや診断レポートなどの自動作成機能を実装すべくテスト中だ。
劉秋陽氏は南カリフォルニア大学コンピューターサイエンス学科を卒業し、インターネットや心理カウンセリング分野を手がける連続起業家だ。2019年には若者をターゲットとしたオンラインカウンセリングアプリ「Tell」をリリースし、累計登録ユーザーは400万人を超えている。
今回調達した資金について、劉氏は生成系AIモデルのブラッシュアップに主に充てるとしており、「AIモデルの導入でカウンセラーの業務効率は2〜3倍上がり、コンピテンシーに関しては大幅に強化されると考えている」と述べている。
(翻訳・山下にか)
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