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中国のカード式メモ書きアプリ「flomo(浮墨筆記)」は、IT大手バイトダンス(字節跳動)のアウトライナーツール「幕布(Mubu)」を買収することで合意した。幕布はバイトダンスのオールインワン型ビジネスツール「飛書(Feishu、海外版『Lark』)」が傘下で運営していた。
flomo創業者の劉少楠氏は幕布が引き続き独立して運営され、他のプロダクトと統合や連携をせずにアウトライナーツールとして改良を続けていくとコメントした。
幕布は2015年12月に連続起業家の郭暁力氏と王旭氏が共同で創業した。階層式でコンテンツを整理する文書管理ツールとしてメモ記録、タスク管理、プラン作成などに使われ、ユーザーはアウトライン形式で構造化されたメモをもとに、ワンクリックでマインドマップを作ることができる。
同社は2018年末、TikTokで知られているバイトダンスに数百万元(数千万~1億数千万円)で買収された。その後順調に成長してきた。当初は生産性を重視する弁護士などを中心ターゲットとしていたが、ある程度の評価を確立してからは学生などにまでユーザーを拡げた。それほど投資をしなくとも、幕布のユーザー数は早期のうちに月間増加率が125%に達している。
バイトダンスが幕布を買収したのはネット大手が競うようにBtoB事業へ参入して間もない頃で、文書管理ツールはまさに各社競争の焦点となっていた。バイトダンスは2017年にも文書管理プラットフォーム「石墨文檔(Shimo)」に出資して大株主になっている。
当時は文書管理ツールをめぐる動きが活発だった。2018年にテンセントが「騰訊文檔」を、同年末にはアリババ傘下のオフィスツール「釘釘(DingTalk)」と金山弁公(Kingsoft Office)が共同で「釘釘智能文檔」を発表。19年1月にはショート動画の快手科技(Kuaishou Technology)が「一起写(Yiqixie)」を買収した。
複数の業界関係者によると、バイトダンスが幕布を買収した目的は、郭氏と王氏の創業者2人をバイトダンスに招くことだったという。買収後に幕布はバイトダンス傘下の飛書に統合され、2人の創業者も飛書の事業に加わった。しかし、この2人は2021年に相次いで辞職している。
関係者によると、バイトダンスが幕布を売却するのは、傘下の飛書が目玉プロダクトに育ち、幕布とは一部機能が重複する上、郭氏と王氏が去ったことで管理者不在になったことが理由だ。
では、なぜflomoが買収するのか。幕布には長年の運営実績がある。郭氏によると、バイトダンスに買収された時点の登録ユーザー数は100万人で、現在のユーザー数は2000万人を超えたという。カード式メモツールのflomoにとって、幕布はアウトライナーの代表的プロダクトとしてブランド、顧客、評価が確立されており、双方は顧客基盤を互いに補完しあえる。そのため、今回の買収は理にかなったものと言えるだろう。
(翻訳・大谷晶洋)
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