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EC大手「京東(JD.com)」が創業記念日の6月18日にちなんで始めた大型セールは今や11月11日「独身の日」に次ぐネットショッピングイベントとなっている。今年の618セールでは、再び「当日配達」と「翌日配達」が各プラットフォームの物流サービスレベルを検証する重要な基準となった。
各社の公表データによると、618セール期間中、「京東物流(JD Logistics)」の「倉庫・物流一体サービス」による注文件数のうち当日配達と翌日配達が占める割合は91%以上を維持している。アリババ傘下のECサイト「天猫(Tmall)」は354都市で当日配達を実現。また「蘇寧物流(Suning Logistics)」の当日配達サービスは全国78都市をカバーしており、翌日配達は317都市をカバー。これらと比較すると、ソーシャルコマース大手「拼多多(ピンドゥドゥ)」は物流サービスにおいて特に目立った成績を残してはいないようだ。
Eコマース(EC)の競争が激化するにつれ、物流はネットショッピングの最終プロセスとしてユーザーエクスペリエンスの重要な部分を占めるようになった。同時にECプラットフォームにとっては集客の重要な手段にもなっている。目下、当日/翌日配達のカバーエリアがこの競争の焦点だ。
アリババのジャック・マー会長は2017年に開催された「世界スマート物流サミット」において、物流業界は将来的に1日の宅配件数が10億件という壁に直面するだろうと語った。その予測通り、2018年の独身の日セールにはアリババの注文件数が10億件を突破。中国の物流業界は1日10億件時代に突入した。
競争が日増しに激化、全面的なスピードアップへ
他社に先立ち配送スピードの速さで多くのユーザーを虜にしたのが京東だ。革新的な「倉庫・配送一体型モデル」に基づき、京東は各地に倉庫を設置することで荷物の輸送時間を省き、注文から荷物受け取りまでの時間を大幅に短縮した。しかし、物流企業が互いにスピードアップを競う中で、当日/翌日配達を実現できるプラットフォームも増加。京東はいつまで優位性を保つことができるだろうか。
この他にも「新小売(ニューリテール)」概念の提唱や、生鮮ECの発達で当日/翌日配達ではすでにECのニーズを満たせなくなっており、30分/1時間以内の配達や24時間ノンストップでの配送が新たな目標となっている。このような状況下で、店舗の倉庫化や、主要都市への配送後は現地物流会社に配送を委託するなど、新たな物流形態が出現し始めている。
今後、物流業界をリードするのは?
ECの発展は物流業界のレベルアップを促し、オートメーション化や「倉庫・幹線輸送・配送一体型」を特徴とする新しい物流モデルが主流となり始め、絶えず効率化が進む中で、個人向けの輸送範囲と種類も徐々に多様化し、「新物流」の時代が幕を開けた。
この新物流時代において、既存企業は市場で現在の地位を保てるのだろうか。今後どの企業が台頭もしくは脱落するのか。
蘇寧・京東:「倉庫・幹線輸送・配送一体型」の二社がついに一戦交えるか
「倉庫・幹線輸送・配送一体型」の代表的な企業は京東物流と蘇寧物流だ。昨年末の時点で、京東の倉庫面積は1200万平方メートル、蘇寧の倉庫面積は950万平方メートルに達している。注目すべきは、2017年から2018年にかけて京東の倉庫面積は横這いだという点だ。これは同社の物流事業が長年赤字状態であることと無関係ではない。
蘇寧の公開情報によると、今年3月末時点で、蘇寧物流と傘下の「天天快逓(TTK Express)」の倉庫面積は964万平方メートルであり、2018年末時点の950万平方メートルより増加している。蘇寧によると、2020年までには倉庫及び関連施設の面積が2000万平方メートルに達する見込みだという。
これは、京東がもし今後数年にわたって倉庫拡大に慎重な態度を取り続ければ、倉庫面積の優位性が蘇寧に奪われてしまうことを意味する。
菜鳥:プラットフォームに徹する
アリババ傘下の物流サービス「菜鳥(Cainiao Logistics)」も京東や蘇寧と同様に「倉庫・配送一体型」モデルを進めている。京東や蘇寧との違いは、中間の幹線輸送と大部分の配送業務を物流企業に頼っている点だ。
つまり、自社の物流システムを抱える京東や蘇寧に対し、菜鳥はタオバオと同様、プラットフォームに徹しているのだ。自社での物流運営とプラットフォームとの間に優劣は存在せず、重要なのはどちらがより適しているかという問題だ。
大手物流企業:価格競争で最後に笑うのは
「四通一達」とされる大手5社の物流企業(「申通快逓(STO Express)」、「圓通速逓(YTO Express)」、「中通快逓(ZTO Express)」、「百世快逓(旧・匯通快逓、BEST Logistics Technology)」、「韻達快逓(YUNDA Express)」)はアリババや拼多多などの大手ECプラットフォームから来る大量の荷物によって、すでに幹線輸送において十分な競争力を有している。
しかし、これらの企業の業務の大部分はEC商品の配送であり、業務量がECプラットフォームに左右されるという点が企業の価格交渉権を弱め、価格競争から抜け出せずにいる。
中国の国家郵政局が公開したデータによると、昨年6月、全国の小包一件あたりの平均単価は11.8元(約180円)で、前年同期比で2%低下。価格競争はおそらく今後も続くだろう。
そのような状況下で、中小規模の物流企業が淘汰されることは必至だ。上述の「四通一達」系企業の市場シェアがそれを表している。2018年までに、これら5社のの業務量の市場シェアは64.4%に達し、一年前と比べ5.5%増加している。
物流の価格競争がすでに激化しており、中小企業が淘汰された今、四通一達も自社が淘汰されないという確証はないのだ。
アリババがついに天下を統一するのか
今年3月、アリババが申通の株式取得を宣言し、菜鳥傘下の現地物流企業を統合したサービスブランド「丹鳥(DANNIAO)」を発表。ここから、アリババを中心とする物流連盟がEC関連の注文件数を一手に握りながら、連盟を拡大している様相がうかがえる。
アリババの安定した歩みに比べて、京東物流は深刻な赤字に陥っている。同時に、急速に追い上げてくる蘇寧物流にも立ち向かわなければならない状況でもある。
このような状態が続けば、将来的に物流業界ではおそらくアリババが優位に立つだろう。
しかし全体的に見ても、新物流時代はすでに幕を開けており、競争と統合が短期的な物流業界全体のテーマとなる。スマート、高効率、「倉庫・幹線輸送・配送一体型モデル」が物流業界におけるこれからのキーワードとなるだろう。
(翻訳・山口幸子)
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