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中国格安EC大手「拼多多(Pinduoduo)」傘下の越境ECプラットフォーム「Temu」が昨年9月に米国でローンチされてから1年。その猛進ぶりには驚嘆させられる。
36Krが独自に得た情報によると、Temuの2023年7-9月期の売上高は50億ドル(約7500億円)を突破したそうだ。特にローンチから1周年を迎えた9月には、1日あたりのGMV(流通取引総額)が8000万ドル(約120億円)にもなったという。上半期のGMVが約30億ドル(約4500億円)だったことを考えると、9月の1カ月間だけで上半期分に近い額を売り上げたことになる。
この勢いを維持したままブラックフライデーやクリスマスを迎えれば、今年のGMV目標150億ドル(約2兆2500億円)の達成が現実味を帯びてくる。中国の投資銀行、中金公司(CICC)は180億ドル(約2兆7000億円)になる可能性もあると予測している。この額は、世界で一大ブームを巻き起こした中国発アパレルEC「SHEIN」の2022年GMVの6割に相当する。
関係者によると、最初に進出した米国市場の貢献度が大きく、Temuの売上高の60%を占めているという。中金公司のデータによると、米国市場のユーザーの定着状況は2023年7月7日に18.5%、同月30日に13.5%と、米国の越境EC「eBay(イーベイ)」や「Wish」、SHEINを上回り、アマゾンに迫ろうとしている。
Temuは米国市場での成長を足がかりにグローバル化の歩みを加速させ、現在日本も含む47カ国でサービスを展開している。今年9月には、1カ月間では過去最多となる10カ国でサービスを開始した。事業の拡大に伴い、7-9月期には積極的に広告に資金を投じた。7月以降にフェイスブックやグーグルに投じた広告費は、1日あたり1千万ドル(約1.5億円)にものぼる。
Temuのこうした動きに刺激を受けたのか、ライバルのSHEINも今年8月、フェイスブックとグーグルでの広告に1日平均で800万ドル(約12億円)を投じている。
Temuでは、出店者がTemuの中国国内の物流倉庫に商品を送り、そこから海外に発送するという流れになっている。しかしサイトへのアクセス急増で倉庫が対応しきれず、ユーザーへ商品が発送できないというトラブルが発生したことから、Temuは海外倉庫の設置計画を急ピッチで進めている。
Temuは現在、広東省の広州市、清遠市、東莞市、佛山市などに30カ所以上の物流倉庫を運営している。年初よりは拡大し、現在も増え続けているものの、それでも出店者側は以前と変わらず倉庫のスペースを奪い合っている。ある出店者は「倉庫は増えたが、出店者も爆増している」と話す。9月末時点でTemuのSKU(最小管理単位)は年初の20万点から100万点近くにまで増え、現在も増え続けている。
損益分岐点についてはまだ話題にあがらない。Temuにとって目下のところ、GMVの増加と市場の拡大が最も重要だからだという。新市場拡大のニーズに対応するため、拼多多はTemuに関わる今年の予算を当初の200億元(約4000億円)から230億元(約4600億円)に増額している。
Temuの損失率は全体で40%程度、米国は若干低い30~35%となっている。損失の主な原因はマーケティング費用で、物流コストの割合もかなり高めだ。
1年前のサービス開始当初は拼多多のチームや実行力、サプライチェーンなどのゆえに大きな期待が寄せられたが、Temuはその予想をはるかに超えるとてつもない成長を見せつけている。
(翻訳・36Kr Japan編集部)
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