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11月の第4金曜日は毎年「ブラックフライデー」と呼ばれ、今年は11月24日だった。その翌週月曜日の「サイバーマンデー」と共に、米国で最も盛り上がるセールイベントとなっている。この2日間は中国最大のショッピングイベント「ダブルイレブン」と同じように、オフラインとオンラインの販売業者がセールを展開し、消費者が集中的に商品の買いだめをする。
ブラックフライデーは中国の越境電子商取引(EC)業者にとって、年末のかき入れ時だ。アマゾンの出品者によると、ブラックフライデーの売上高は平時の2~3倍に増えるという。
中国発格安ECの「Temu」や「SHEIN」、TikTokのEC機能「TikTok Shop」が今年のブラックフライデーに新たな変化をもたらした。セール期間を1カ月に延ばし、低価格路線でアマゾンのトラフィックと注文件数を奪い取ろうと試みた。中でもTemuが最も早く、10月20日に開始したプレセールから47日間、TikTok Shopは少し後の10月27日から35日間、SHEINは11月6日から12月初めまでセールを展開。応戦する形のアマゾンも、セール期間を初めて11日間に延ばし、先行セール期間中もブラックフライデー当日と同じ割引率に設定した。
昨年9月に米国でサービスを開始したTemuは「最大90%割引」のバナーを貼って、低価格を売りにしている。出品者はTemuの倉庫に商品を送り、供給価格を申告するだけで、その後の運営、出品、価格設定などのフルフィルメントは全てTemuが担う。Temuのバイヤーは供給価格を審査すると同時に、出品者同士で価格競争をさせることで、低価格の商品を販売している。工場を持つメーカーなどはコスト管理と低い価格設定ができるため、こうしたやり方に対応しやすい一方、工場とバイヤーの価格差から収益をあげるような事業者が生き残るのは難しい。さらに、フルフィルメントを担うプラットフォームが大きな裁量を持ち、セール期間を統一的に計画できる。
アマゾンも同じように低価格を打ち出している。プラットフォームには、出品者の商品がネット上で最安値であることを保証する価格比較システムがあるが、米メディアの報道によると、アマゾンは今年6月に価格比較システムからTemuを除外したという。
アマゾンは依然として世界最大のECプラットフォームであり、完全な物流システム、プライム会員制度、長年蓄積されたブランド認知度によって高い市場シェアを握っている。市場調査会社eMarketerのデータによると、2022年の米国オンライン販売市場ではアマゾンがトップシェアの37.8%で、2位のウォルマートの6倍に上った。しかし、アマゾンの市場シェアは揺らぎ始めており、複数の出品者によると、アマゾンの先行セール期間中は予想したほど売り上げが伸びなかったという。
コンサルティング企業のマッキンゼーが今年2月に発表したレポートによると、米国の消費者は消費を控えつつある。アンケート回答者の80%が、高級ブランドを買わない、購入点数やパッケージサイズを見直すなど、消費行動を変えていると答えた。回答者の81%は、購入前に実店舗やブラウザ、アプリなど複数チャネルを調べると答えた。低価格路線を売りにする中国発プラットフォームは、まさにこの流れにマッチしたのだ。
今年のブラックフライデーは世界的なEC情勢の変化を示す縮図となった。アマゾンにとって最も重要な市場で、世界第2のEC市場である米国が競争の焦点となっている。
(翻訳・大谷晶洋)
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