中国スマートペット用品、競争激化で海外進出競う。シェア獲得も成長には課題

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ペット用スマート機器業界ではし烈な価格競争が繰り広げられている。それには低価格を武器に業界構造を変革するのに長けた中国企業の参入が影響している。

5年ほど前、猫用スマートトイレは中国ではあまり目にしない高級品で、ある米国ブランドの5000元(約10万円)を超える製品が市場を独占していた。しかし今では中国国産ブランドが市場にあふれかえり、価格はいずれも2000元(約4万円)ほどだ。

中国ペット市場の規模は大きい。ペットとして飼われている猫や犬は1億匹を超え、飼い主は1990年代生まれの比較的若い世代が全体の46.3%を占めている。ペットの地位が向上するにつれ市場も拡大し、市場規模は2021年に2000億元(約4兆円)を超えた。

ペット用スマート機器は新たに誕生したカテゴリで、まさに雨後のたけのこのように次々とスタートアップが誕生している。最もホットな商品はスマートトイレとスマート水やり器だが、価格競争や同質化という課題にも直面している。中国のペット飼育率は20%程度で、ペット用スマートデバイスの普及率はさらに低いものの、市場のプレイヤーはどんどん増えている。ペット用スマートデバイスを専門とするスタートアップにはCatlinkや霍曼科技(Homerunpet)、小佩寵物(Petkit)などがあり、大手企業ではスマートフォンの小米集団(シャオミ)や家電の美的集団(Midea Group)、ECの京東集団(JDドットコム)なども直接、あるいは間接的に参戦している。

6300億円規模の中国ペット市場。アリババ、シャオミもIoT機器参入

国内での競争が激しいために、多くの企業が海外に活路を求めようとした。しかしペット用スマート機器は一般的な電気製品とは異なり、製品の安定性や機能の更新、国内外での品質基準が統一されていないといった課題が大きな壁となって海外進出企業の前に立ちはだかっている。

スマート水やり器は最も普及しているペット用のスマート機器で、市場研究が進んでいる。しかし製品の同質化が激しく、新しい発想に乏しい。例えばほとんどの製品は貯水と衛生面に課題があるのに、業界として解決できていないため、特定の企業が頭一つ抜け出すのは難しく、価格競争ばかりが厳しさを増すという結果になる。スマート給餌器も同様の問題を抱え、似通った製品があふれ、差別化に欠ける。

OEM(受託生産)の能力も重要だ。小臺科技(els pet)は中国で早い時期からOEMやODM(受託開発)でペット用品を専門に供給してきた。現在は数千社のOEMを手掛け、自社開発製品も世界20カ国以上で販売されている。小臺科技は大きな生産能力とスピーディな製品改良を強みに、スマート水やり器なら設計から量産までを3~4カ月で、スマートトイレなら8カ月で完了できる。

製造型の企業が生産能力という強みを持つのに対し、製品型の企業は機能の差別化によって生き残りを図らねばならない。Catlinkの主力製品である猫用スマートトイレは複数の猫を識別できるほか、健康観察やワンタッチ自動糞処理機能などがあり、売れ筋商品となっている。さらにスマートフォンと連動してアプリを通じて猫の体重や食事量、排尿などの情報をまとめた健康レポートを作成、排便に異常があればアラートが出される。また霍曼科技の主力商品はブルーオーシャンの家庭用ペット乾燥機だ。

海外のペット用品ブランドで長期にわたり革新的な変化が無いなか、多くの中国メーカーは技術力の向上と低価格で一定のシェアを獲得している。小佩寵物はかなり早い段階で海外に進出し、現在主戦場としている米国での売上高が35%を占めている。Catlinkはアマゾンの米国サイトで5種類のスマート機器を販売し、ブラックフライデーのセールでは猫用トイレカテゴリで売上トップとなった。霍曼科技は日本や韓国、台湾など東アジア市場に力を入れている。

しかしペット用スマート機器の安全性については課題が残る。英サイバーセキュリティ企業カスペルスキーの調査によると、ペット用スマート機器の事故発生率は高めだ。そのため飼い主の大多数はまだ手を出さずにいる。市場のさらなる拡大にはもう少し時間がかかりそうだ。

※2024年3月29日のレート(1元=約21円)で計算しています。

(翻訳・36Kr Japan編集部)

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