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自動運転技術の研究開発に取り組む中国のスタートアップ企業「宏景智駕(HongJing Drive、Hyperview)」がこのほど、シリーズC1で数億元(数十億~百十数億円)を調達した。出資には、衢州智盛産投や中泰仁和(Zhongtai Renhe Fund)のほか、既存株主のProsperity7(プロスペリティ7)と華登国際(Walden International)も参加。うちProsperity7は、総合エネルギー・化学企業サウジアラムコの傘下にあるヘッジファンドで、これまで宏景智駕に3度出資していた。
今回の資金調達は、中国の自動運転業界で今年最大級の規模となった。資金は、自動運転ソリューションの量産とグローバル市場の開拓に充てられるという。
宏景智駕は2018年に設立され、ソフトウエアとハードウエアを統合した自動運転ソリューションを手がけ、二大市場を形成する乗用車と商用車を対象に、センサーやレベル3~4の自動運転システム、パーキングメモリー、ドメインコントローラなどの製品を提供している。
中国の乗用車市場では現在、自動運転ソリューションの開発をめぐり、通信機器大手のファーウェイ(華為技術)やドローン大手DJI傘下の「大疆車載(DJIオートモーティブ)」、電気自動車(EV)の蔚来汽車(NIO)、小鵬汽車(Xpeng Motors)などが激しい競争を繰り広げている。また、エンド・ツー・エンド(E2E)などの新技術が登場する中、比亜迪(BYD)や長城汽車(GWM)もサプライヤーと共にそれを追いかけている状況だ。
宏景智駕はサプライヤーとして、先進的な自動運転ソリューションの開発を続けている。BEV(Bird’s Eye View、鳥瞰図)センサーアルゴリズム、コックピット・運転支援・自動駐車用ドメインコントローラの統合といった最先端技術のほか、次世代ADAS(先進運転支援システム)の開発を進め、製品の競争力を向上させている。
創業者の劉飛龍CEOは、エンド・ツー・エンドの技術について、やみくもにトレンドを追いかけるのではなく、システムの安全性を考慮しながら、段階的にソリューションを開発していく方針を示した。「当社は、フルスタックの自動運転ソリューションを手がけるサプライヤーとして、普及型の自動運転レベル2および高性能のレベル3~4という2種類の製品ラインに投資を続けていく」と話す。
公式発表によると、上海汽車(SAIC)や長城汽車、奇瑞汽車(Chery)、江淮汽車(JAC)、BYD、合衆新能源汽車(Hozon Auto)などの計30車種に同社の製品の搭載を進めている。
また、競争が激しい乗用車の自動運転ソリューションに加え、新エネルギーを動力源とするスマート大型トラックのソリューションを次の成長事業と定め、水素燃料トラックに搭載する自動運転レベル3~4のソリューションを開発している。
宏景智駕によると、特定条件下における完全自動運転を実現する同社の自動運転レベル4ソリューションは、複数の大型トラック運行システムに採用され、必要なドライバーの数を大幅に減らすことに貢献した。また、一般道路で自動運転レベル2+を実現するNOA(Navigation on Autopilot)ソリューションにより、ドライバーが運転時に感じるストレスを大きく軽減し、安全性も向上するという。
すでに提携先の大型トラックメーカーとは、グローバル市場に向けてスマート大型トラックの製造と供給を進めている。同社は今回の資金調達後、中東や欧州などでサウジアラムコと進める事業提携を含め、世界の新エネルギー・スマート大型トラック市場への進出を加速する方針だ。
同業他社では、蔚来汽車や自動運転技術のユニコーン企業・小馬智行(Pony.ai)などがここ数年に中東の投資機関から出資を受けた。資金の供給源が細る中、中東マネーに頼るのは中国企業が生き残りを図るための手段と言える。しかし、資金を調達してからどのように製品の競争力を高め、市場シェアを拡大していくかが長期的な課題となっている。
Prosperity7のAysar Tayeb専務取締役は「当社は、ハイテク分野で成長する大きな可能性を秘めた企業の支援に力を入れてきた。自動運転技術が世界的にますます注目される中、宏景智駕は当社が中国で投資した唯一の自動運転ソリューション企業で、その先進的な技術と事業戦略を武器に急速に頭角を現している」と話した。
*1元=約21円で計算しています。
(翻訳・大谷晶洋)
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