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「バッテリー、先進運転支援システム(ADAS)、コネクティビティ、エンターテインメント・システムなどの分野で中国のサプライヤーとコンタクトを取り、新たな協力関係を築きたい」。ポルシェの調達担当役員であるバーバラ・フレンケル(Barbara Frenkel)氏は、中国メディアが参加した記者会見でこう述べた。
欧州連合(EU)は2035年までに化石燃料を使う自動車の新車販売を禁止するという目標を掲げているが、ガソリン車の自動車メーカーに妥協案を残している。カーボンニュートラルの実現の切り札ともされる水素と二酸化炭素を合成して製造される合成燃料(e-Fuel)だけで走行する自動車は、引き続き登録が可能になる。 エンジン車で世界をリードしてきたポルシェは、電動モビリティ(eMobility)と合成燃料(eFuels)という2つの「e戦略」を推し進めている。
e-Fuelは合成メタノールの一種で、水、水素、二酸化炭素から合成される液体燃料だ。ガソリンやディーゼルと混合して給油して使用することができる。ポルシェによると、e-Fuelを含む混合燃料は既存のガソリンスタンドで個別に提供でき、効率的に充填できるという。
しかし、ポルシェが提携しているe-Fuelサプライヤーの米HIFは、年間生産量がわずか13万リットルにとどまり、そのコストは1リットルあたり10ドル(約155円)と、化石燃料や電気代よりもはるかに高いため、e-Fuelの普及はなかなか進んでいない。現在、e-Fuelを使えるのは、販売価格331万2000元(約7000万円)の高級モデルであるベントレー「コンチネンタルGTスピード」のみであり、販売台数を見てもスケールメリットはとても期待できない。
電気自動車(EV)などの新エネルギー車の普及率が徐々に高まっている中国市場で、ポルシェのe戦略は明らかにEVに傾斜していっている。
最近、中国を訪問したポルシェのフレンケル氏はポルシェのe戦略について36krや他のメディアと意見を交換した。
フレンケル氏は36krの取材に対し、ポルシェのEV化は環境目標の達成を目指すもので、ピュアEVは確かに最高のソリューションだが、それは再生可能エネルギー由来の電力であることが前提だと語った。ただ現実にはまだ石炭火力発電に頼っており、二酸化炭素(CO2)の排出量を削減するためにも、e-Fuel合成燃料は非常に効果的な方法であると述べた。
ポルシェは、2030年までに新車販売の80%をEVにするという目標を掲げている。フレンケル氏は、EVを普及させるには時間がかかり、充電設備が普及していない段階では、e-Fuelは非常に良い選択肢だと考えている。
フレンケル氏によると、ポルシェは当面中国でe-Fuel関連の投資を計画してはいないという。 ただ、現在は中国での生産計画はないものの、中国で既に多くのサプライヤーを抱えており、自社の自動車のモデルに世界をリードする中国の技術をもっと活用したいという強い意志を持っていると明らかにした。今回の訪中では、バッテリー、ADAS、コネクティビティ、エンターテインメント・システムなどさまざまな中国のサプライヤーと会い、彼らとの新たな戦略的パートナーシップを確立することを望んでいるとした。
2024年第1~9月期、ポルシェの中国における累計販売台数は、前年同期比29%減の4万3280台で、ポルシェにとって世界最大の市場だった中国は第3位へと後退した。中国の自動車市場における熾烈な競争により、ポルシェはEVの競争力向上に着手せざるを得なくなった。特に航続距離、自動運転技術、スマートコックピットに注力している。
グローバル調達担当役員の訪中は、ポルシェが中国市場とサプライチェーンを重視していることを明確に示している。ポルシェがどのくらいのスピードでバッテリーやスマート化の成果を自動車に搭載できるかが、ポルシェのEV戦略の命運を分けることになるかもしれない。
*1ドル=約155円、1元=約21円で計算しています。
(36Kr Japan編集部)
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