中国の医薬品販売もニューリテール化 24時間オンライン注文で薬局から即時配送

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医薬品のニューリテールを手掛ける「薬便利(Yaobili)」は、数千万元(約数億円)のシリーズAラウンドで資金調達を行った。出資者は「紀源資本(GGV Capital)」と「小鹏汽車(Xpeng motors)」創業者の何小鹏氏だ。

近年、インターネット技術と新しいビジネスモデルの登場で、医薬品の小売りはめざましく成長した。2018年のオフライン小売総額は6000億元(約9兆円)に上る。

しかし、この業界は依然として分散化しているのが現状だ。トップ100の医薬品販売チェーンを合計しても、シェアは20%前後しかない。そのため、医薬品小売大手はどこも買収を積極的に行っている。

オンラインでは、「1薬網(111,Inc.)」を代表とするB2Cモデル、「叮当快薬(DDKY)」を代表とするO2Oモデルが台頭し、医薬品小売のビジネスモデルを変えようとしている。とはいえ、オンライン販売比率はまだ小売総額全体の2.6%前後しかなく、日用消費財の26.4%よりはるかに低い。

このような背景のなか、2018年に設立された薬便利は新しいモデルを試みている。薬便利は医薬品販売店にSaaSの形でツールを提供するなどの形で、販売店のIT化を高め、よりデータに基づいた経営が実現されるよう支援する。

現在同社が提供しているサービスは主に3種類ある。まずSNSアプリWechat内のミニプログラム「薬便利」だ。販売店は無料でこのミニプログラム内に登録することができ、消費者がオンラインで購入すると自宅まで配送してもらえる。次に、会員管理と販売管理ツールや、医薬品の自動販売機ソリューションだ。これにより、24時間体制での販売が可能となる。最後に、スマート化されたデータに基づくプロモーションシステムで、これは製薬メーカーの販売店での宣伝をサポートするものだ。

薬便利のミニプログラム画面

また、薬便利はこのほど「用薬便利」というミニプログラムを新たに提供しはじめた。これは動画による取扱説明書のようなものだ。商品ケースや販売店に設置されたQRコードをスキャンすれば、中国の有名な病院の薬剤師が行う医薬品の使用説明を視聴できる。

現在、薬便利はすでに1000種類近いOTC医薬品の動画撮影を行い、NGO「中国科学技術協会」が運営する科学知識普及団体との正式に提携し、医薬品に関する知識の普及に力を入れている。

ミニプログラム「用薬便利」

上述の「1薬網」、「叮当快薬」やECサイトと比べ、薬便利の強みはどこにあるのか。この点について、同社CEOの余俊氏は次の3つを挙げている。

まず、販売店が直接消費者に配送をするため、ECよりも早く届く。薬を買うのは通常すぐに使いたいときであり、販売店が直接配送するほうがよりニーズに応えることができる。

次に、O2Oモデルでは、倉庫、配送をすべて自社で行うことになるが、この手法はコストが高く、大手医薬品販売チェーンと競合の関係にある。そこで薬便利は自社で倉庫を持たず、当初から地場の有力チェーンと提携することで、より迅速かつ低コストでサービス提供地域を広げることができる。

3番目に、販売店がプラットフォームに登録することは無料で、ユーザーの位置情報から自動的に近くの店舗を選択するため、消費者がほかの店に流れる心配はない。つまり、薬便利と販売店は互いに補完し合う形で提携していることになる。販売店はオフラインを担当し、薬便利は商品検索、使用説明などをより便利にしたのだ。

薬便利は今後1年かけて、北京と華東地方、華南地方の大都市に販売網を広げ、各都市で大手チェーンと提携することを目標に掲げている。
(翻訳:小六)

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