世界最小の遊星ローラーねじを量産へ 中国スタートアップ「Nous Bot」、上海汽車が出資

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遊星ローラーねじの開発を手がける中国スタートアップ「諾仕機器人(Nous Bot)」がこのほど、追加のエンジェルラウンドで上海汽車(SAIC)傘下の上汽創投(SAIC Capital)から資金を調達した。上汽創投が人型ロボットの部品メーカーに出資するのは初めて。資金は、精度等級C5の遊星ローラーねじの量産に用いられる。

2023年7月に設立された諾仕機器人は、共同創業者の徐楊氏と王暁斌氏のほか、主要メンバーが仏自動車部品メーカーValeo(ヴァレオ)の出身だ。前身は、上海大学の元教授・徐根林氏が設立した同族企業で、30年以上にわたってねじを生産していた。同社は遊星ローラーねじやアクチュエーターの設計、生産を手がけ、世界最小の遊星ローラーねじを開発した。広東省深圳市に研究開発センターを、上海市に生産拠点を設け、生産の効率と安定した品質を確保している。

諾仕機器人の研究開発センター(画像は企業提供)

精密な伝動部品の遊星ローラーねじは、台形ねじやボールねじに比べ、耐荷重や寿命の点で優れている。耐荷重が高いため、高精度で負荷が大きい機械・装置の安定的な稼働を支えることができる。また、台形ねじやボールねじよりもはるかに長い寿命により、機械・装置のメンテナンスコストとダウンタイムを効果的に減らし、全体的な生産効率の向上が見込める。

しかし、遊星ローラーねじは研削加工が非常に複雑で、工程が多いうえに厳しい品質管理が求められ、原材料の選択や生産ラインの細かなオペレーションにも専門技術と先進的な設備が必要とされる。小型の遊星ローラーねじを低コストで量産することは、世界の製造業に共通する難題とされている。

特に人型ロボット分野で、ロボットハンドに使う小型ねじは極めて需要が大きいが、生産コストが高止まりし、納品にも時間がかかるといった課題にぶつかっている。ねじのコストが高いと人型ロボットの製造コストが上がるため、ロボットの普及が遅れるほか、納品に時間がかかれば、ロボットの開発や供給のペースにも影響が及ぶ。

諾仕機器人は、精度等級C5の技術的な壁を打ち破り、ねじの直径1.5ミリ、ナットが直径5.5ミリという世界最小の遊星ローラーねじを開発した。このねじは高い精度と耐荷重を保ちながら、ロボットハンドのサイズや重さを無駄に増やすことなく、正確で安定した動きを実現する。

また、独自の高精度金属成型技術を採用し、精度等級C5の遊星ローラーねじの安定した量産を実現した。製品は、人型ロボットのジョイントやロボットハンド、半導体、リチウムイオン電池塗工機、医療機器、工作機械などに幅広く活用できる。

同社は新規顧客からの受注も獲得し、製品の用途や供給を広げている。上海汽車とは、電動機械式ブレーキ(EMB)やステアリング、サスペンションといった自動車シャシー分野で提携する。今後も引き続き、遊星ローラーねじとアクチュエーターのフォワードエンジニアリングを進め、生産工程の全てを自社で完結させる体制を構築していくという。

諾仕機器人の遊星ローラーねじ(画像は企業提供)

(翻訳・大谷晶洋)

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